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木造の非住宅は、用途によって坪単価・法規・耐用年数が大きく変わります。 一般的な目安の坪単価は倉庫40〜65万円・事務所65〜90万円・福祉施設75〜100万円と用途で倍近い差があり、法規は建築基準法 別表第一の「特殊建築物」に当たるかどうか(事務所・工場は該当しない、倉庫・店舗・福祉施設・共同住宅などは該当)で厳しさが変わります。法定耐用年数も、同じ木造で事務所用24年・店舗用22年・倉庫用15年と用途で異なります。
この記事では、主な用途について「この用途で木造を選ぶならここを押さえる」というポイントを一覧にしました。各用途の詳しい解説記事へのリンクから深掘りしてください。
役割分担:この記事は用途別の検討の入口です。坪単価の一覧と国の統計は 建築の坪単価一覧、実際に建った物件は 木造非住宅 施工事例集 をご覧ください。
【早見表】用途別 坪単価・法規・耐用年数
| 用途 | 木造の坪単価(一般的な目安) | 建築基準法 別表第一の区分 | 法定耐用年数(木造) |
|---|---|---|---|
| 事務所 | 65〜90万円 | 該当しない | 24年(事務所用) |
| 倉庫 | 40〜65万円 | (五)項 | 15年(倉庫用・一般) |
| 工場 | 50〜80万円 | 該当しない(自動車修理工場は(六)項) | 15年(工場用・一般) |
| ロードサイド店舗 | 55〜80万円 | (四)項(物販店は10㎡以内を除く) | 22年(店舗用) |
| カフェ・物販店 | 70〜100万円 | (四)項 | 店舗用22年/飲食店用20年 |
| クリニック(無床) | 70〜95万円 | 該当しない(有床は(二)項) | 用途区分を確認 |
| 福祉施設(介護等) | 75〜100万円 | (二)項に類する用途(児童福祉施設等) | 用途区分を確認 |
| 保育園 | 85〜110万円 | (二)項に類する用途(児童福祉施設等)。幼稚園は(三)項 | 用途区分を確認 |
| 共同住宅(賃貸) | 70〜95万円 | (二)項 | 22年(住宅用) |
| 長屋 | 70〜95万円(共同住宅の目安を準用) | 該当しない | 22年(住宅用) |
| 宿泊施設(ホテル・旅館) | 90〜120万円 | (二)項 | 17年(旅館用・ホテル用) |
| 体育館・大空間 | 50〜130万円(架構方式による) | (三)項 | 22年(体育館用) |
※ 坪単価は建物本体の工事費の一般的な目安で、統計や実績の集計値ではありません(坪単価一覧 の一覧表と同じ値。長屋と体育館は一覧に無いため、それぞれ共同住宅の目安と 木造体育館の記事 の架構方式別の目安によります)。内装造作・特殊設備・外構・設計監理費・消費税は含みません。 ※ 別表第一の区分は建築基準法 別表第一・施行令115条の3、耐用年数は減価償却資産の耐用年数等に関する省令 別表第一によります。診療所・福祉施設・保育所がどの用途区分に当たるかは、税理士または所轄の税務署に確認してください。
別表第一に当たる用途(特殊建築物)は、その用途の床面積が200㎡を超えると確認申請が必要になり(建築基準法6条1項1号)、階数や床面積に応じて耐火建築物・準耐火建築物などが求められます(同27条)。
| 区分 | 主な用途 | 耐火・準耐火の要求がかかる主な規模(建築基準法27条・別表第一) |
|---|---|---|
| (二)項 | 共同住宅・有床診療所・ホテル・旅館・児童福祉施設等 | 3階以上の階をその用途に使う、または2階部分の床面積が300㎡以上 |
| (三)項 | 学校・体育館など | 3階以上の階をその用途に使う、または床面積2,000㎡以上 |
| (四)項 | 物販店・飲食店など | 3階以上の階をその用途に使う、2階部分が500㎡以上、または床面積3,000㎡以上 |
| (五)項 | 倉庫など | 3階以上の部分が200㎡以上(耐火建築物)、または床面積1,500㎡以上 |
※ 例外(階数3で延べ200㎡未満の扱いなど)や、防火地域・準防火地域の規制(建築基準法61条)は別にかかります。詳しくは 非住宅木造の耐火基準を完全ガイド を参照してください。
1. アパート・長屋(共同住宅・賃貸)
特徴
賃貸経営で収益性と入居者満足度を両立させやすい用途です。木造3階建ての共同住宅は、準耐火構造などで計画するのが一般的です。
坪単価
- 共同住宅(賃貸)の坪単価:70〜95万円(一般的な目安)
法規ポイント
- 共同住宅は別表第一(二)項の特殊建築物。3階以上を共同住宅に使う場合などは耐火・準耐火の要求がかかる
- 長屋は別表第一に当たらないため、共同住宅より規制が少ない
- 長屋・共同住宅とも、住戸間の界壁に遮音性能が必要(建築基準法30条)
詳細記事
2. 介護施設(特養・有料老人ホーム・デイサービス)
特徴
断熱性・遮音性・バリアフリーが重要な用途です。24時間使う施設が多いので、断熱・空調の計画が運営コストに効きます。
坪単価
- 福祉施設(介護等)の坪単価:75〜100万円(一般的な目安)
法規ポイント
- 老人福祉施設・有料老人ホームなどは、建築基準法上「児童福祉施設等」(施行令19条)に含まれ、別表第一(二)項に類する用途として扱われる
- 3階以上をその用途に使う場合や、2階部分が300㎡以上の場合に耐火・準耐火の要求がかかる
- 居室の採光、避難計画(2方向避難、車いすでの避難)を早い段階で確認する
- 施設の基準(居室面積など)は介護保険法などの指定基準でも決まる
詳細記事
3. 保育園・幼稚園
特徴
木の内装の温かみが好まれ、木造が選ばれやすい用途です。施設整備の補助制度と組み合わせて計画することが多くあります。
坪単価
- 保育園の坪単価:85〜110万円(一般的な目安)
法規ポイント
- 保育所は児童福祉施設(別表第一(二)項に類する用途)、幼稚園は学校((三)項)
- 0〜5歳児の避難を前提にした計画、保育室の採光(建築基準法28条・施行令19条)
- 保育室の面積などは児童福祉施設の設備運営基準でも決まる
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4. クリニック(診療所・医院)
特徴
外来の患者が落ち着ける木の空間をつくりやすく、開業時のコストも抑えやすい用途です。
坪単価
- クリニック(無床)の坪単価:70〜95万円(一般的な目安)
法規ポイント
- 患者の収容施設(入院用のベッド)が無い診療所は、別表第一の特殊建築物に当たらない
- 患者の収容施設がある診療所(有床診療所)は、別表第一(二)項の特殊建築物
- 医療法で、20人以上の患者を入院させる施設があれば「病院」、入院施設が無いか19人以下なら「診療所」になる
- 診察室の遮音・プライバシーの設計が重要
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5. 事務所(オフィス)
特徴
最も木造化しやすい用途のひとつです。別表第一の特殊建築物に当たらないため、用途による耐火の要求がかかりません。
坪単価
- 事務所の坪単価:65〜90万円(一般的な目安)
法規ポイント
- 特殊建築物に当たらない
- 防火地域では階数3以上または延べ100㎡超で耐火建築物等が必要(建築基準法61条・施行令136条の2)。準防火地域は規模に応じて耐火・準耐火等
- 構造計算が必要な木造は階数3以上または延べ300㎡超(建築基準法20条)
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6. 倉庫
特徴
コスト最重視の用途です。柱の少ない大空間が必要ですが、トラスやLVL(単板積層材)で対応できます。
坪単価
- 倉庫の坪単価:40〜65万円(一般的な目安)
法規ポイント
- 倉庫は別表第一(五)項の特殊建築物。200㎡超で確認申請が必要
- 3階以上の部分が200㎡以上なら耐火建築物、床面積1,500㎡以上なら耐火建築物または準耐火建築物(建築基準法27条)
- 床の積載荷重は保管物の実況に応じて計算する
- 営業倉庫(倉庫業法の登録を受ける倉庫)は、施設基準も満たす必要がある
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7. 工場
特徴
大スパンと、食品工場ならHACCPなどの衛生要件を両立させる必要があります。木造で延床1,973㎡の食品工場を建てた事例もあります。
坪単価
- 工場の坪単価:50〜80万円(一般的な目安)
法規ポイント
- 工場は別表第一の特殊建築物に当たらない(自動車修理工場は(六)項)
- 建てられるかどうかは用途地域で決まる。住居系の地域では、作業場の床面積や原動機の使用などで制限がかかる(建築基準法48条・別表第二)
- 危険物を扱う場合は、建築基準法27条や消防法の規制も確認する
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8. 店舗(カフェ・物販・サービス業)
特徴
木の外観・内装が店の個性になりやすく、ロードサイドの小規模店舗では平屋で短い工期を組みやすい用途です。
坪単価
- カフェ・物販店の坪単価:70〜100万円(一般的な目安)
- ロードサイド店舗の坪単価:55〜80万円(一般的な目安)
法規ポイント
- 物販店(10㎡以内を除く)・飲食店は別表第一(四)項の特殊建築物(施行令115条の3)
- 建てられる規模は用途地域で決まる(建築基準法48条・別表第二)
- 防火地域・準防火地域の規制、消防設備(収容人員に応じる)
詳細記事
9. 宿泊施設・体育館(大空間)
- ホテル・旅館:別表第一(二)項。坪単価は90〜120万円(一般的な目安)。旅館業法の基準も確認 → 木造ホテル・旅館の建設費と坪単価
- 体育館・大空間:別表第一(三)項。架構方式(トラス・大断面集成材・CLT)で費用が変わる → 木造体育館・大空間施設の建て方
10. ZEB・脱炭素の視点
どの用途でも、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)や木材の炭素貯蔵量の表示は、施主の脱炭素の取り組みとして使えます。
【チェックリスト】用途を決めたら最初に確認する5項目
- その用途は建築基準法 別表第一の特殊建築物か(確認申請・耐火の要求が変わる)
- 敷地の用途地域で、その用途・規模が建てられるか(建築基準法48条・別表第二)
- 防火地域・準防火地域か(建築基準法61条)
- 階数3以上または延べ300㎡超で、構造計算が必要か(建築基準法20条)
- 用途ごとの個別法(介護保険法・児童福祉法・医療法・旅館業法・倉庫業法など)の基準と補助制度
共通の検討ポイント
| 検討項目 | 関連記事 |
|---|---|
| 坪単価の総まとめ(用途別一覧) | 建築の坪単価一覧 |
| 構造比較(RC/S/木造) | 木造・鉄骨造・RC造の坪単価比較 |
| 工法比較(2×4/在来/SE/CLT) | 中大規模木造の工法比較 |
| 耐火基準 | 耐火基準完全ガイド |
| 構造計算 | 非住宅木造の構造計算 |
| 基礎設計 | 木造非住宅の基礎設計 |
| 耐用年数・減価償却 | 建物の減価償却|構造・用途別の耐用年数 |
| 断熱性能 | 木造建築の断熱性能 |
| 遮音性能 | 木造の防音・遮音性能 |
| 補助金(全用途共通) | 非住宅木造の補助金まとめ |
まとめ:用途選択の3つの判断軸
- 市場性:その用途は地域・時代のニーズに合っているか
- 技術・法規:特殊建築物の要求や用途地域を、自社の技術力・連携体制でクリアできるか
- 収益性:坪単価と耐用年数を踏まえて、施主にも工務店にも利益が残るか
法令の適用は、所管の行政庁・指定確認検査機関で必ず確認してください。用途選択で迷われている工務店様、土地オーナー様は、お気軽にご相談ください。
出典・参考
- 建築基準法(6条・20条・27条・28条・30条・48条・61条、別表第一・別表第二)(e-Gov法令検索): https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000201
- 建築基準法施行令(19条・115条の3・136条の2)(e-Gov法令検索): https://laws.e-gov.go.jp/law/325CO0000000338
- 減価償却資産の耐用年数等に関する省令 別表第一(e-Gov法令検索): https://laws.e-gov.go.jp/law/340M50000040015
- 医療法 第1条の5(病院・診療所の定義)(e-Gov法令検索): https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000205
- 坪単価の目安・統計値: 建築の坪単価一覧(国土交通省「建築着工統計調査」令和7年計を含む)

