※ 画像はイメージです
物件概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 用途 | 製材工場+ストック倉庫群 |
| 構造・工法 | 木造2×4工法(枠組壁工法)+LVLトラス |
| 延床面積 | 約1,160㎡(約350坪)・平屋+一部2階 |
| 構造の特徴 | LVLトラスによる最大スパン約12mの無柱空間 |
| 設計監理 | サンライズ建築事務所 |
| 概算建設費 | 約1億8,000万円(坪単価 約51万円・設備/外構別) |
| 工期 | 約6ヶ月(パネル化施工+トラス先組みで短縮) |
| 採用ポイント | シンプル堅牢/大開口搬入口/工期短縮 |
※ 倉庫・工場は内装仕上げが最小限で済むため、用途のなかでも坪単価は低めです。木造倉庫の坪単価レンジと費用構造は木造倉庫の建設費はいくら?で詳しく解説しています。
このプロジェクトのねらい
製材工場とストック倉庫は、製造業の生命線である「搬入・保管・出荷」を担う建物です。複雑な意匠よりも、シンプルであること。使いやすいこと。そして、長く使えること――この3点を満たすことが最優先と位置づけ、木造2×4工法で構成しました。
エンジニアードウッドであるLVLトラスを採用することで、製材ラインや保管スペースに必要な無柱の大空間を木造で実現。木材を扱う事業者にとっての「木造工場」というアイデンティティとも自然に合致するプロジェクトです。
設計上のポイント
1. シンプルで堅牢な構造
長期にわたって製造現場として使い続けるため、装飾的要素を抑え、メンテナンスのしやすさと耐久性を優先した設計としています。シンプルな構成は、将来的なレイアウト変更や設備更新の際にも柔軟性を発揮します。
2. 効率的な動線設計
製材工場・倉庫の生産性は、動線設計でほぼ決まります。本プロジェクトでは、
- 搬入 → 保管 → 出荷の一連の流れを最短化
- 機械配置に合わせた作業エリアと通路の明確化
- 隣接建屋間の連携を見据えた敷地全体での動線設計
を意識し、運営事業者の生産性向上に直接寄与する建築としています。
3. 大開口の搬入口
大型車両の横付けに対応できる大開口の搬入口を設置。トラックヤードからの直接搬入が可能となり、フォークリフトでの内部移動を最小化することで作業効率と安全性を向上させています。
4. LVLトラスによる大スパン空間
製材機械や保管棚をフレキシブルにレイアウトするためには、無柱の大空間が不可欠です。LVL(単板積層材)トラスなどのエンジニアードウッドを採用し、大スパン空間を木造で実現しました。
「木造で大スパンは難しい」というのは過去の話。エンジニアードウッドと2×4工法の組み合わせは、産業建築においても十分な性能を発揮します。
5. 木造ならではの温熱環境
製材作業の現場は、稼働時間が長く、夏冬の過酷な環境にスタッフがさらされます。木造ならではの快適な温熱環境と空気感は、作業者の負担軽減・労働環境改善にも貢献。これは長期的な人材確保の観点でも重要なメリットです。
木造2×4だからこそできたこと
| 項目 | 効果 |
|---|---|
| 工期 | パネル化施工で短工期、事業開始の前倒し |
| コスト | RC造・S造比で構造体コストを圧縮 |
| スパン | LVLトラスで大空間を確保、機械配置の自由度向上 |
| 環境 | 木造の温熱・空気環境で作業者の労働環境改善 |
| メンテ性 | シンプル構成で長期使用に強い |
工場・倉庫を木造で建てる際の構造選定ポイント
「工場・倉庫=鉄骨」という前提を見直すと、木造には明確なコスト・環境上の優位があります。一方で、用途特有の検討事項もあります。
| 検討項目 | 工場・倉庫で求められること | 木造2×4+LVLでの対応 |
|---|---|---|
| スパン | 機械配置・棚割の自由度(無柱空間) | LVLトラスで10〜12mの大スパンを確保 |
| 床荷重 | フォークリフト・重量物への耐荷重 | 土間コンクリート+基礎で対応、棚配置を構造に反映 |
| 防火区画 | 延床1,500㎡超は耐火または防火壁区画 | 3,000㎡以内ごとに防火壁区画で準耐火を維持 |
| 大開口 | トラック横付け・フォーク搬入口 | 面構造に開口補強を組み込み大開口を成立 |
| 結露・温熱 | 保管品の品質維持・作業環境 | 壁内充填断熱で結露を抑制 |
延床面積による耐火要求の境界は事業計画を左右します。用途×規模別の早見表は非住宅木造の耐火基準を完全ガイドを、大規模化の限界は2×4工法で大規模木造は可能か?500坪超の実績を参照してください。
概算費用の内訳(約350坪・木造2×4+LVLトラスの場合)
| 工種 | 概算(万円) | 構成比 |
|---|---|---|
| 本体工事(躯体・木工事・LVLトラス) | 9,900 | 55% |
| 内装・建具(最小限仕上げ) | 1,800 | 10% |
| 設備(電気・給排水・搬送付帯) | 3,600 | 20% |
| 外構・付帯(ヤード舗装・搬入路) | 1,260 | 7% |
| 設計監理・諸経費 | 1,440 | 8% |
| 合計 | 18,000 | 100% |
倉庫・工場は内装比率が低いぶん、構造体コストの差がそのまま総額差に表れます。木造・S造・RC造の倉庫の坪単価は木造・RC造・S造の坪単価比較で構造別に比較しており、躯体コストで木造がS造比30〜40%安くなる傾向を確認できます。
事業者にとってのメリット
- 事業開始の前倒し — 工期短縮は、設備投資の早期回収につながります。
- イニシャルの圧縮 — 構造体コストの差額を、機械設備や搬送ラインに振り向け可能。
- 作業環境の改善 — 木造の温熱性・空気感は、作業者の生産性・定着率に寄与。
- 拡張への柔軟性 — シンプル構成は将来の増設・改修にも対応しやすい。
- 企業ブランド — 木材関連事業者にとって、木造の自社施設は強い対外メッセージになります。
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まとめ
「工場・倉庫は鉄骨で」――その常識は、すでに過去のものになりつつあります。エンジニアードウッドと2×4工法の組み合わせは、産業建築に求められる大スパン・短工期・コスト合理性を高い水準で満たすことができます。
製材・木材加工・物流・倉庫業の新築・建替えをご検討中の事業者様は、お気軽にご相談ください。
