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非住宅の地盤調査の費用は、一般的な目安で、SWS試験(スクリューウエイト貫入試験)なら1棟3万〜8万円程度、ボーリング調査なら1地点15万〜30万円程度(2〜3地点で30万〜90万円)です。 平屋・2階建ての軽い建物はSWS試験、3階建てや倉庫など荷重の大きい建物、軟弱地盤や盛土が疑われる敷地はボーリング調査で支持層(建物を支えられる硬い地層)を確かめるのが基本です。調査の結果、地盤改良が必要になると、延床100坪規模で100万〜数百万円の追加費用になることがあります。
建築基準法施行令93条は、地盤の許容応力度(地盤が安全に支えられる力)を、国土交通大臣が定める方法で地盤調査を行い、その結果に基づいて定めるよう求めています。調査は「やるかどうか」ではなく「どの方法でやるか」を選ぶものです。
この記事はどの地盤調査を選び、いくら見ておくかに絞っています。基礎形式(べた基礎・布基礎・独立基礎)の選び方や床荷重など基礎設計そのものは 木造非住宅の基礎設計、調査・改良費の勘定科目(会計処理)は 地盤改良工事・地盤調査の勘定科目 にまとめています。
地盤調査は「SWS」か「ボーリング」か|方法と費用の目安
非住宅では、まずどの調査方法を選ぶかで精度とコストが変わります。SWS試験は、以前「スウェーデン式サウンディング試験」と呼ばれていたもので、2020年のJIS A 1221改正で「スクリューウエイト貫入試験」に名称が変わりました。
| 調査方法 | 向いている建物 | わかること | 費用の目安 |
|---|---|---|---|
| SWS試験(スクリューウエイト貫入試験) | 平屋・2階建ての軽い建物 | 地盤の硬さ・軟らかさの分布、おおまかな支持力 | 1棟 3万〜8万円程度 |
| ボーリング調査(標準貫入試験でN値を測る) | 3階建て・倉庫など荷重の大きい建物、規模の大きい建物 | 支持層の深さ・土の種類・地下水位、液状化の検討に使うデータ | 1地点 15万〜30万円、通常2〜3地点で30万〜90万円 |
| 平板載荷試験(補助) | 浅い基礎や表層改良の支持力の確認 | 実際に荷重をかけたときの沈下・支持力 | 1点 10万〜20万円程度 |
※ 費用はいずれも一般的な目安です(実績の集計値ではありません)。地点数・深さ・地域・調査会社で変わります。N値は、決まった重さのハンマーで試験用の管を30cm打ち込むのに必要な打撃回数で、地盤の硬さの指標です。
【早見表】調査方法の選び方
| 建物・敷地の条件 | まず選ぶ調査 |
|---|---|
| 平屋・2階建て、荷重が小さい、周辺も良好な地盤 | SWS試験 |
| 3階建て、倉庫・工場など床の荷重が大きい | ボーリング調査 |
| 近くに軟弱地盤・盛土・埋立ての履歴がある | ボーリング調査 |
| 支持層が深い、液状化が心配な敷地 | ボーリング調査+必要に応じて追加の試験 |
| SWS試験で軟弱層が見つかった | ボーリング調査で支持層を確認 |
最終的な調査方法は、構造設計者が建物の荷重と基礎形式を踏まえて決めます。調査を省いたり安く済ませたりすると、改良費の読み違い(後述)で総額が大きくブレます。
地盤改良の工法別 費用の目安
改良費は調査結果(軟弱層の深さ・支持層の深さ)で決まります。下表は延床100坪規模での一般的な目安です。
| 工法 | 概要・適用深度の目安 | 費用の目安(100坪) |
|---|---|---|
| 表層改良 | 浅い軟弱土にセメント系固化材を混ぜて固める(1〜2m) | 100万〜250万円 |
| 柱状改良 | 地中に柱状の改良体をつくる(2〜8m) | 200万〜500万円 |
| 小口径鋼管杭 | 鋼管を支持層まで圧入する(3〜15m) | 300万〜700万円 |
| コンクリート杭 | PHC杭(工場製のコンクリート杭)などを支持層まで施工(5〜30m超) | 500万〜1,500万円 |
※ 一般的な目安です。地盤の状態・建物規模・支持層の深さで大きく変わり、同じ用途でも敷地が変われば改良費が数倍違うこともあります。
どの工法を選ぶかの考え方(地盤改良と杭基礎の違い)は 木造非住宅の基礎設計 を参照してください。建物本体の概算は 非住宅木造の建設費 概算の出し方 で試算できます(地盤改良は別途)。
木造が地盤に有利な理由
木造は建物が軽いため、RC造(鉄筋コンクリート造)やS造(鉄骨造)より基礎・地盤への負担が小さくなります。
- 同じ地盤でも、RC造なら必要な改良が、木造なら不要・軽微で済むことがある
- 改良の深さや範囲が小さくなれば、改良費も下がる
- 結果として地盤改良費を含めたトータルで木造が有利になりやすい
構造ごとの建築費は 木造・RC造・S造の坪単価比較 も参照してください。
土地取得前に「地盤リスク」を読む
正式な調査の前でも、敷地の地盤リスクをある程度予測できます。土地取得の判断材料として、企画の初期に次を確認します。
【チェックリスト】土地取得前の地盤リスク確認
- 過去の土地利用(地歴):水田・池・沼・川沿い・埋立地・盛土ではないか(古い地形図・航空写真で確認)
- 地形:台地・段丘の上か、低地・谷を埋めた場所か
- ハザード情報:国土交通省・国土地理院の「ハザードマップポータルサイト」で、洪水・土砂災害のリスクや土地の成り立ち(地形分類)を確認したか
- 周辺のボーリングデータ:「国土地盤情報検索サイト KuniJiban」などで、近くの公共工事のボーリング柱状図(地層の記録)を見たか
- 自治体の情報:液状化ハザードマップや地盤情報を公開していないか
- 周辺の建物:近隣の建物に傾き・ひび割れ、擁壁にクラックがないか
- 地名:「田・沼・谷・池・川・州」など、かつての地形を示す字が入っていないか(あくまで参考)
これらで「改良費が大きくなりそうな土地か」を予測し、土地取得前に改良費のリスクを予算に織り込むと、取得後の予算オーバーを防げます。確定は地盤調査で行います。
コストを抑える進め方
- 土地取得前・企画初期に地盤の見立てを行う(上のチェックリストと公的な地盤情報)
- 建物の荷重に合った調査方法を選ぶ(過不足のない調査)
- 調査結果に基づき改良工法を選定する(過剰な改良を避ける)
- 建物配置・基礎形式の工夫で改良範囲を最小化する
- 軽量な木造を選び地盤への負担を下げる
検討段階の抜け漏れ防止は 木造非住宅 検討チェックリスト を活用してください。
地盤調査・地盤改良に関するよくある質問(FAQ)
Q. 平屋の小規模な非住宅でも地盤調査は必要ですか? A. 必要です。建築基準法施行令93条は、地盤の許容応力度を地盤調査の結果に基づいて定めるよう求めています。平屋・軽い建物ならSWS試験(一般的な目安で1棟3万〜8万円程度)で足りることが多く、調査自体は高額ではありません。「調査を省いて改良費を読み違える」ほうがはるかにリスクです。
Q. SWSとボーリング、どちらを選べばよいですか? A. 平屋・2階建ての軽い建物はまずSWS試験、3階建てや倉庫など荷重が大きい建物、支持層を正確に把握したい場合、軟弱地盤・盛土が疑われる敷地はボーリング調査が目安です。最終的には構造設計者が建物の荷重と基礎形式から決めます。
Q. 地盤調査の費用は誰が払いますか?会計上はどう扱いますか? A. 通常は建築主(施主)が負担します。建物の基礎設計のための地盤調査・地盤改良の費用は、法人税の取扱いでは建物の取得価額に含めるのが原則です。詳しくは 地盤改良工事・地盤調査の勘定科目 を参照してください。
Q. 地盤改良は必ず発生しますか? A. いいえ。良好な地盤なら改良不要のこともあります。改良の要否・工法は調査結果で決まります。木造は軽量なため、同じ地盤でもRC造より改良が軽微・不要で済む場面があります。
Q. 改良費はどのくらい見ておけばよいですか? A. 延床100坪規模での一般的な目安は、表層改良100万〜250万円、柱状改良200万〜500万円、小口径鋼管杭300万〜700万円です。支持層が深いほど高くなります。敷地で大きく変わるため、地盤リスクの高い土地ほど予算に余裕を見ます。
Q. 改良費を抑える方法はありますか? A. 調査に基づいて必要十分な工法を選ぶ、建物配置・基礎形式を工夫して改良範囲を小さくする、軽量な木造を選んで地盤の負担を下げる、の3つが基本です。土地取得前の地盤リスク予測も、想定外の出費を防ぎます。
Q. 土地を買う前に地盤を調べられますか? A. 正式な調査には通常、土地所有者の許可が要ります。許可がなくても、ハザードマップポータルサイトやKuniJibanの公開データ、地歴・周辺建物の状態から地盤リスクを予測できます。取得前にリスクを読み、改良費の概算を織り込んでおくのが安全です。
まとめ
- 地盤調査は施行令93条に基づく設計の前提。小規模はSWS試験(1棟3万〜8万円程度)、大荷重・3階建てはボーリング調査(1地点15万〜30万円程度・2〜3地点)が一般的な目安
- 改良費は表層100万〜250万/柱状200万〜500万/鋼管杭300万〜700万円(100坪の一般的な目安)で、地盤・規模・支持層の深さで大きく変動
- 土地取得前に公的な地盤情報で地盤リスクを読む
- 木造は軽量で地盤に有利、トータルコストで効く
「見えない地中」の不安を早めに潰すことが、予算ブレを防ぐ鍵です。地盤を含めた総額をご検討中の方は、建物概算とあわせてお気軽にご相談ください。
出典・参考
- 建築基準法施行令 第93条(地盤及び基礎ぐい)(e-Gov法令検索): https://laws.e-gov.go.jp/law/325CO0000000338
- 日本産業規格 JIS A 1221「スクリューウエイト貫入試験方法」(2020年改正で名称変更): https://www.jisc.go.jp/
- 国土交通省・国土地理院「ハザードマップポータルサイト」: https://disaportal.gsi.go.jp/
- 国土交通省・土木研究所・港湾空港技術研究所「国土地盤情報検索サイト KuniJiban」: https://www.kunijiban.pwri.go.jp/
- 費用はいずれも一般的な目安です(公的な統計ではありません)。会計処理の根拠(法人税基本通達7-3-4)は 地盤改良工事・地盤調査の勘定科目 に記載しています。

