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木造・S造(鉄骨造)・RC造(鉄筋コンクリート造)の坪単価は、事務所の一般的な目安で木造65〜90万円、S造80〜110万円、RC造100〜130万円です。 幅の真ん中どうしで比べると、木造はS造より約18%、RC造より約33%低い水準で、200坪の事務所なら本体工事費で木造とRC造の差は約7,000万〜8,000万円になります。国の統計(国土交通省「建築着工統計調査」令和7年計)でも、着工建築物全体の工事費予定額は1㎡あたり木造約23.3万円、鉄骨造約37.1万円、RC造約41.0万円の順です。
この記事では、3構造のコスト差を用途別・規模別に計算し、差が生まれる理由と、それでも鉄骨造・RC造を選ぶべき条件をまとめます。
この記事は木造・S造・RC造の3構造を横並びで比べるページです。木造と鉄骨造の二択の判断(耐用年数・固定資産税・火災保険まで)は 木造と鉄骨造の違い を、用途ごとの坪単価を一覧で引くなら 建築の坪単価一覧 をご覧ください。
構造別の坪単価比較(事務所)
非住宅で計画数の多い事務所を基準に比べます。いずれも建物本体の工事費で、内装・設備・外構・設計監理費・消費税は含めない前提の一般的な目安です(公的統計や実績の集計値ではありません)。
| 構造 | 坪単価の目安(事務所) | 工期の目安(100坪) | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 木造(2×4) | 65〜90万円/坪 | 3〜4ヶ月 | 建物が軽く、基礎を小さくしやすい |
| S造(鉄骨造) | 80〜110万円/坪 | 4〜6ヶ月 | 大スパン(柱の間隔が大きい空間)が得意 |
| RC造(鉄筋コンクリート造) | 100〜130万円/坪 | 6〜8ヶ月 | 重く、型枠・養生の工程がある。遮音・耐火に強い |
※ 工期は一般的な目安です。部材の納期、確認申請の審査期間、天候で前後します。
【計算例】200坪の事務所を3構造で建てた場合
| 構造 | 坪単価 | 200坪の本体工事費 | 木造との差 |
|---|---|---|---|
| 木造(2×4) | 65〜90万円 | 1億3,000万〜1億8,000万円 | ー |
| S造 | 80〜110万円 | 1億6,000万〜2億2,000万円 | 約3,000万〜4,000万円 |
| RC造 | 100〜130万円 | 2億〜2億6,000万円 | 約7,000万〜8,000万円 |
差額は、幅の下限どうし・上限どうしで引いたものです。実際の比較は、同じ延床・同じ仕様で各構造の見積を取って行ってください。
用途別の3構造比較
用途によって坪単価の水準が変わります。代表的な用途の目安を並べます(10用途以上の一覧は 建築の坪単価一覧)。
| 用途 | 木造(2×4) | S造 | RC造 | 木造の差(幅の真ん中で比較) |
|---|---|---|---|---|
| 倉庫 | 40〜65万円/坪 | 55〜80万円/坪 | 80〜110万円/坪 | S造比 約22%、RC造比 約45% 低い |
| 事務所 | 65〜90万円/坪 | 80〜110万円/坪 | 100〜130万円/坪 | S造比 約18%、RC造比 約33% 低い |
| 介護施設(福祉施設) | 75〜100万円/坪 | 90〜120万円/坪 | 110〜140万円/坪 | S造比 約17%、RC造比 約30% 低い |
| ロードサイド店舗 | 55〜80万円/坪 | 70〜100万円/坪 | 100〜130万円/坪 | S造比 約21%、RC造比 約41% 低い |
| カフェ・物販店 | 70〜100万円/坪 | 90〜120万円/坪 | 110〜140万円/坪 | S造比 約19%、RC造比 約32% 低い |
- 倉庫は内装仕上げが少なく、全体に坪単価が低くなります。フォークリフトが走る大開口・大スパンが必要な場合は架構の費用が増えるため、木造の柱スパンは何mまで? を先に確認してください。規模別の総額は 木造倉庫の建設費 で解説しています。
- 事務所は空調・電気設備が加わり倉庫より高くなります(木造事務所の建設費と坪単価)。
- 介護施設は防火や消防用設備の要件が加わり、坪単価が上がります。サービス種別ごとの建設費は 木造デイサービス・木造グループホーム・木造サ高住 で解説しています。
- 店舗は業態で幅が変わります。飲食店は厨房設備・排気が加わるため 木造飲食店・レストランの建設費、薬局は ドラッグストアの建設費 もあわせて確認してください。
国交省の統計で見る3構造の単価(令和7年)
国の統計でも構造による差を確認できます。国土交通省「建築着工統計調査」令和7年計の第3表(用途別、構造別)から、工事費予定額を床面積で割った値です(1坪=約3.306㎡で換算)。
| 区分 | 木造 | 鉄骨造 | RC造 |
|---|---|---|---|
| 着工建築物 全体 | 23.3万円/㎡(約77万円/坪) | 37.1万円/㎡(約123万円/坪) | 41.0万円/㎡(約135万円/坪) |
| 産業用建築物 計 | 30.7万円/㎡(約102万円/坪) | 38.1万円/㎡(約126万円/坪) | 46.4万円/㎡(約153万円/坪) |
| 事務所 | 29.3万円/㎡(約97万円/坪) | 53.0万円/㎡(約175万円/坪) | 58.5万円/㎡(約193万円/坪) |
| 工場及び作業場 | 27.3万円/㎡(約90万円/坪) | 40.1万円/㎡(約133万円/坪) | 49.9万円/㎡(約165万円/坪) |
| 倉庫 | 17.7万円/㎡(約59万円/坪) | 21.3万円/㎡(約70万円/坪) | 22.7万円/㎡(約75万円/坪) |
※ 工事費予定額は建築工事届の時点の予定額で、完成時の額とは異なることが多いと国交省は説明しています。規模・仕様の異なる建物の平均のため、上の目安表とは算定範囲が同じとは限りません。鉄骨造・RC造の事務所には大規模なビルも含まれます。
同じ令和7年計で、産業用建築物(住宅・居住併用を除く)の着工床面積のうち木造は約8%(約308万㎡/約3,648万㎡)にとどまります。非住宅では、まだ鉄骨造が主流です。
構造によってコストが変わる理由
| コスト要素 | 木造 | S造 | RC造 |
|---|---|---|---|
| 建物の重さ・基礎 | 軽く、基礎を小さくしやすい | 木造より重い | 最も重く、基礎・杭が大きくなりやすい |
| 躯体の工程 | プレカット部材を現場で組み立てる | 鉄骨の製作・建方、溶接・高力ボルト接合 | 型枠・鉄筋・コンクリート打設・養生 |
| 工期 | 短くしやすい | 中間 | 長くなりやすい |
| 材料価格の変動 | 木材の市況で動く | 鋼材の市況で動く | セメント・鉄筋・型枠材と労務の状況で動く |
| 耐火性能の確保 | 石膏ボード等の被覆で準耐火・耐火を確保 | 規模・用途によって耐火被覆が必要 | 構造体そのものが耐火構造にしやすい |
工期が短いと、仮設費・現場管理費や建設中の借入利息が減り、開業・稼働も早められます。どれだけ効くかは、施工者に工程表を出してもらって比べてください(木造の工期短縮)。材料価格は市況で変動するため、見積の有効期限と、契約から着工までの価格変動の扱いを確認しておきましょう。
法定耐用年数の比較(減価償却)
税務上の法定耐用年数は構造と用途の組み合わせで決まり、建物の実際の寿命とは別物です。
| 用途 | 木造 | 鉄骨造 肉厚4mm超 | 鉄骨造 3mm超4mm以下 | 鉄骨造 3mm以下 | RC造 |
|---|---|---|---|---|---|
| 事務所用 | 24年 | 38年 | 30年 | 22年 | 50年 |
| 店舗用 | 22年 | 34年 | 27年 | 19年 | 39年 |
| 工場・倉庫用(一般) | 15年 | 31年 | 24年 | 17年 | 38年 |
※ 減価償却資産の耐用年数等に関する省令 別表第一。鉄骨造は骨格材の肉厚で区分します。工場・倉庫用は、腐食性の薬品を扱うもの、冷蔵倉庫などで別の年数が定められています。
耐用年数が短いほど毎年の償却費(費用に計上できる額)が大きくなり、早い時期の税負担が軽くなります。ただし償却できる総額は取得価額で決まっているため、効果は「費用計上の時期が早まる」ことです。計算例は 木造と鉄骨造の違い と 非住宅木造の減価償却と節税 を参照してください。
コスト以外の違い
断熱
鋼材は木材に比べて熱を伝えやすいため、鉄骨造では柱・梁が熱橋(ヒートブリッジ=断熱層を貫いて熱が逃げる部分)になりやすく、断熱の納まりに注意が必要です。どの構造でも、省エネ基準への適合は断熱材と開口部の仕様で確保します(非住宅木造の断熱性能)。
遮音
遮音は床・壁の重さと構成で決まり、重いRC造は素の性能を出しやすい構造です。木造・S造でも、界壁・床の仕様で性能を確保します(木造の防音・遮音性能)。
環境配慮
木材は成長の過程で二酸化炭素を吸収し、建物として使っている間は炭素を貯蔵します。脱炭素の取り組みとして木造を選ぶ企業もあります。施主に説明するための数値の整理は 木造建築のCO2削減効果 を参照してください。
【判断表】それでも鉄骨造・RC造を選ぶべきケース
コストだけで構造を決めると、後から設計が破綻することがあります。次に当てはまる場合は、木造にこだわらずS造・RC造と比べてください。
| 条件 | 検討の目安 | 理由 |
|---|---|---|
| 大きな無柱空間が必要 | S造を検討(木造トラス・集成材も比較) | 必要スパンによって架構費が大きく変わる。何mまで飛ばせるかは荷重・積雪・構造計算で決まる |
| 4階建て以上 | 3構造を比較 | 木造など可燃材料を使う建物は、地階を除く階数4以上または高さ16m超で原則として耐火性能の要求がかかり(建築基準法第21条)、より詳しい構造計算も必要になる(木造4階建ての非住宅) |
| 重量機械の振動・重荷重がある | S造・RC造を検討 | 剛性と床荷重の確保が主目的になる |
| 防火地域で規模も大きい | 個別に判定 | 耐火建築物の要求次第でコスト構造が変わる(耐火基準の早見表) |
| 遮音を最優先する用途(音楽・録音等) | RC造を検討 | 躯体の重さそのものが遮音性能になる |
逆に、低層・一般的な床荷重・大きな無柱空間が不要という条件に収まる非住宅なら、木造をコスト比較の候補に入れる価値があります。
よくある質問(FAQ)
Q. 坪単価にはどこまで含まれていますか。 A. この記事の坪単価は建物本体の工事費の目安です。内装造作・什器・特殊設備・外構・設計監理費・各種申請費用・消費税は含みません。総事業費は、一般的な目安として本体工事費の1.2〜1.4倍程度を見込んでおくと資金計画が立てやすくなります。
Q. RC造の建築単価はいくらですか。 A. 事務所の一般的な目安で100〜130万円/坪です。国の統計(建築着工統計 令和7年計)では、RC造の着工建築物全体の工事費予定額は約41.0万円/㎡(約135万円/坪)、RC造の事務所は約58.5万円/㎡でした。
Q. 木造は鉄骨より維持費が高くつきませんか。 A. 外壁・屋根の更新時期は構造よりも仕上げ材で決まります。木造には防蟻(シロアリ対策)、鉄骨造には防錆(さび止め)の維持管理があり、どちらも点検と補修が必要です。詳細は 木造非住宅は何年もつ? を参照してください。
Q. 鉄骨価格が下がれば逆転しますか。 A. 鋼材価格は市況で動くため、差が縮む局面はあり得ます。ただし構造による差は材料費だけでなく、基礎の大きさや工程の違いからも生まれます。比較は、その時点の同条件の見積で行ってください。
Q. 補助金を使えば構造の差は埋まりますか。 A. 木造化や木材利用を支援する補助は木造側だけに使えるため、差は開く方向に働きます。制度は年度ごとに変わるので、非住宅木造に使える補助金・助成金まとめ で最新の公募要領を確認してください。
まとめ
- 事務所の坪単価の目安は、木造65〜90万円・S造80〜110万円・RC造100〜130万円。200坪なら木造とRC造の差は約7,000万〜8,000万円
- 国の統計(令和7年計)でも、着工建築物全体の1㎡あたり工事費予定額は木造・鉄骨造・RC造の順に高い
- 法定耐用年数は事務所用で木造24年・鉄骨造22〜38年・RC造50年
- 大きな無柱空間・4階建て以上・重荷重・遮音最優先なら、鉄骨造・RC造と比べて決める
構造選択の前提となる耐火・準耐火の要否は、非住宅木造の耐火基準 で先に確認してください。自社の用途・規模での概算は 非住宅木造の建設費 概算の出し方 で試算できます。
出典・参考
- 国土交通省「建築着工統計調査」令和7年計 第3表(用途別、構造別/建築物の数、床面積、工事費予定額)(e-Stat): https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00600120&tstat=000001016965&cycle=7&year=20250&month=0&tclass1val=0
- 国土交通省「建築動態統計調査【建築着工統計調査】用語の定義」(工事費予定額の性格): https://www.mlit.go.jp/toukeijouhou/chojou/kentyasetumei.pdf
- 減価償却資産の耐用年数等に関する省令(e-Gov法令検索)別表第一: https://laws.e-gov.go.jp/law/340M50000040015
- 建築基準法(e-Gov法令検索)第20条(構造計算)・第21条(大規模の木造等の耐火性能): https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000201

