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木造の耐火・準耐火の基準|法27条・61条の用途×規模早見表

木造の耐火・準耐火の基準|法27条・61条の用途×規模早見表

※ 画像はイメージです

木造の建物に耐火建築物・準耐火建築物が求められるかは、建築基準法の3つの条文で決まります。①第21条(木造などで階数4以上・高さ16m超・延べ3,000㎡超)、②第27条(劇場・病院・ホテル・店舗・倉庫など別表第一の特殊建築物を、どの階で、どれだけの面積使うか)、③第61条(防火地域・準防火地域での階数と延べ面積)です。3つを別々に判定し、いちばん厳しい要求を満たします。

事務所や工場は特殊建築物ではないため第27条はかからず、地域と規模(第21条・第61条)だけで決まります。

耐火建築物・準耐火建築物の違い

区分主要構造部に求められる性能根拠
耐火建築物特定主要構造部が耐火構造など。耐火構造は、壁・柱・床・はりが最上階から数えて4以内の階は1時間、5〜9の階は1.5時間、10〜14の階は2時間など、火熱で損傷しないこと。屋根・階段は30分法第2条第9号の2、施行令第107条
準耐火建築物(イ準耐)主要構造部が準耐火構造。壁・柱・床・はりは45分間、屋根(軒裏を除く)・階段は30分間法第2条第9号の3イ、施行令第107条の2
準耐火建築物(ロ準耐)外壁を耐火構造とする、または主要構造部を不燃材料とするなど、イと同等の準耐火性能を持つもの法第2条第9号の3ロ、施行令第109条の3
1時間準耐火基準壁・柱・床・はりが1時間。防火区画などで使う基準施行令第112条第2項

いずれも外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に防火設備が必要です。木造で耐火構造・準耐火構造をつくる方法は後述します。

【早見表1】第27条:特殊建築物の用途×階×面積

別表第一の数値です(2026年10月時点)。「(ろ)の階」「(は)の面積」に当たると第27条第1項、倉庫・自動車車庫は第2項・第3項の対象です。

別表第一主な用途その用途に使う階(ろ)床面積の合計(は)床面積の合計(に)
(一)劇場、映画館、集会場など3階以上の階客席200㎡以上(屋外観覧席1,000㎡以上)―
(二)病院・診療所(患者の収容施設あり)、ホテル、旅館、共同住宅、寄宿舎、児童福祉施設等(老人福祉施設・保育所などを含む)3階以上の階2階の部分が300㎡以上―
(三)学校、体育館、博物館、図書館、スポーツの練習場など3階以上の階2,000㎡以上―
(四)百貨店、展示場、遊技場、飲食店、物品販売店舗(10㎡以内を除く)など3階以上の階2階の部分が500㎡以上―
(五)倉庫―3階以上の部分が200㎡以上1,500㎡以上
(六)自動車車庫、自動車修理工場、映画・テレビスタジオ3階以上の階―150㎡以上
該当求められること根拠
(一)〜(四)で(ろ)の階に用途がある、または(は)の面積に当たる在館者が地上まで避難を終えるまで倒壊・延焼しない構造(耐火建築物、または告示の構造方法。規模により準耐火構造による方法あり)と、外壁開口部の防火設備第27条第1項、施行令第110条、平成27年国土交通省告示第255号
(四)の用途の床面積が3,000㎡以上同上第27条第1項第3号
倉庫で3階以上の部分が200㎡以上耐火建築物第27条第2項第1号
倉庫の用途が1,500㎡以上耐火建築物または準耐火建築物第27条第3項第1号
自動車車庫などで3階以上の階を使う耐火建築物第27条第2項第2号
自動車車庫などが150㎡以上耐火建築物または準耐火建築物(一部のロ準耐を除く)第27条第3項第1号、施行令第115条の4

※ 階数3で延べ200㎡未満のものは第27条第1項第1号から除かれます((二)項のうち政令で定める用途は警報設備の設置が条件)。

【早見表2】第21条:用途を問わない規模の規制

条件(主要構造部に木材などを使う建物)求められること根拠
地階を除く階数4以上特定主要構造部を、通常の火災が終わるまで倒壊・延焼しない構造に(耐火構造など)第21条第1項第1号
高さ16m超同上第21条第1項第2号
倉庫・自動車車庫などで高さ13m超同上第21条第1項第3号
延べ3,000㎡超周囲への延焼を防ぐ性能(耐火構造など)。火熱遮断壁等で区画した部分は別の建築物とみなせる第21条第2項・第3項、施行令第109条の7・第109条の8

※ 第21条第1項は、周囲に延焼防止上有効な空地がある場合は適用されません(同項ただし書)。

【早見表3】第61条:防火地域・準防火地域

地域階数・延べ面積求められる性能
防火地域階数3以上、または延べ100㎡超耐火建築物、または同等の延焼防止性能(延焼防止建築物)
防火地域階数2以下かつ延べ100㎡以下準耐火建築物、または同等の延焼防止性能(準延焼防止建築物)
準防火地域地階を除く階数4以上、または延べ1,500㎡超耐火建築物、または延焼防止建築物
準防火地域階数3で延べ1,500㎡以下/階数2以下で延べ500㎡超〜1,500㎡以下準耐火建築物、または準延焼防止建築物
準防火地域階数2以下かつ延べ500㎡以下(木造)外壁・軒裏の延焼のおそれのある部分を防火構造、その部分の開口部に防火設備

根拠:建築基準法第61条、施行令第136条の2。防火地域・準防火地域では屋根の構造にも基準があります(第62条)。

事務所・工場(特殊建築物でない用途)の場合

事務所・工場(自動車修理工場を除く)は別表第一に含まれないため、要求は早見表2・3と次の規定で決まります。

条件求められること根拠
延べ1,000㎡超の木造外壁・軒裏の延焼のおそれのある部分を防火構造、屋根を第22条の構造に第25条
延べ1,000㎡超1,000㎡以内ごとに防火壁・防火床で区画。耐火建築物・準耐火建築物なら不要第26条
準耐火建築物などで延べ1,500㎡超1,500㎡以内ごとに防火区画(自動式スプリンクラーを設けた部分は床面積の2分の1を除いて計算)施行令第112条第1項

たとえば防火地域・準防火地域の外にある木造2階建て・延べ800㎡の事務所は、耐火・準耐火の要求はありません(法第22条区域なら屋根と外壁の規定はかかります)。工場の詳しい判定は 木造の工場の防火規制 にまとめています。

【判定フロー】求められる性能を決める順番

  1. 用途: 別表第一の特殊建築物か → はいなら早見表1(第27条)で判定
  2. 規模: 階数4以上・高さ16m超・延べ3,000㎡超か → 早見表2(第21条)
  3. 地域: 防火地域・準防火地域か → 早見表3(第61条)
  4. 区画: 延べ1,000㎡超(防火壁)・1,500㎡超(面積区画)、用途が混在するなら異種用途区画(施行令第112条第18項)
  5. 1〜4のうちいちばん厳しい要求を満たす

建物の一部だけが第27条に当たる場合の異種用途区画は 事務所兼倉庫の法規と区画 で解説しています。

主な法改正の経緯

  • 2019年6月25日施行(平成30年法律第67号): 第21条の対象が「高さ13m超・軒高9m超」から「高さ16m超・階数4以上」に。防火地域・準防火地域で、耐火・準耐火と同等の延焼防止性能を持つ建築物(延焼防止建築物など)が認められ、こうした建築物は建蔽率が10%緩和されるようになりました(第53条第3項)
  • 令和4年改正(2022年6月17日公布): 延べ3,000㎡超の大規模建築物で木材を見せる設計を可能にする合理化(公布から2年以内に施行)や、中層建築物(階数5〜9)の耐火性能の合理化(政令改正)
  • 2025年4月1日施行: 木造で構造計算が必要な規模が延べ300㎡超に(構造の規定。木造の構造計算が必要な規模)

木造で耐火・準耐火を実現する方法

メンブレン型(被覆型)

木の柱・はり・壁を、強化せっこうボードなどの不燃系の材料で覆って火熱から守る方法です。仕様は告示(耐火構造は平成12年建設省告示第1399号、準耐火構造は同第1358号)や、国土交通大臣の個別認定で決まります。2×4工法は壁・床が面で構成されるため、被覆の納まりを整理しやすい工法です。層構成や認定の考え方は メンブレン型耐火構造とは で図解しています。

燃えしろ設計

集成材などの断面を、火災時に燃えて炭化する分(燃えしろ)だけ大きくし、残りの断面で荷重を支える方法です。木を見せたい大断面の柱・はりに使われます。必要な燃えしろ寸法は告示で材料・要求時間ごとに定められているため、採用する告示の数値を設計者に確認してください。

費用

被覆の仕様が上がるほど材料と手間が増えます。金額は仕様・規模・地域で変わるため、構造別の坪単価の目安は 木造・鉄骨造・RC造の坪単価比較 を参照し、個別の計画は見積で確認してください。

よくある質問

Q. 木造2階建て・2階が200㎡の飲食店は準耐火が必要ですか。 A. 第27条では、(四)項は2階の部分が500㎡以上で対象になるため、該当しません。ただし防火地域・準防火地域にある場合は第61条で判定します(準防火地域で延べ500㎡以下なら、外壁・軒裏の防火構造と開口部の防火設備)。

Q. 木造で耐火建築物はつくれますか。 A. つくれます。告示の耐火構造(メンブレン型)や国土交通大臣の認定を受けた構造を使います。被覆の仕様が重くなるため、費用と工程への影響を早めに確認します。

Q. 保育所や老人福祉施設はどの項ですか。 A. 建築基準法では「児童福祉施設等」として(二)項に類する用途です(施行令第115条の3第1号)。3階以上の階に置く場合や、2階の部分が300㎡以上の場合に第27条の対象になります。

まとめ

  • 耐火・準耐火の要否は第21条(規模)・第27条(特殊建築物)・第61条(地域)で別々に判定し、いちばん厳しいものを満たす
  • 第27条の境目は、(二)項が2階300㎡、(四)項が2階500㎡・3,000㎡、倉庫は3階以上200㎡・1,500㎡、いずれも3階以上の階に注意
  • 準防火地域は階数2以下・延べ500㎡以下なら準耐火不要、階数3や500㎡超で準耐火相当
  • 事務所・工場は特殊建築物ではない。延べ1,000㎡超の防火壁は、準耐火建築物にすれば不要

※ 本記事は一般的な制度の説明です。個別の計画は、最新の法令・告示と所管の特定行政庁・指定確認検査機関にご確認ください。

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出典・参考

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