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中大規模木造の工法比較|2×4・在来・SE構法・CLTと施工業者

中大規模木造の工法比較|2×4・在来・SE構法・CLTと施工業者

※ 画像はイメージです

中大規模木造の工法は、壁(面)で力を受ける2×4工法とCLT、柱と梁の骨組みで受ける在来軸組工法とSE構法に大きく分かれます。壁の多い事務所・福祉施設・共同住宅は2×4、間取りの自由度と施工者の確保を重視するなら在来軸組、柱の少ない大空間ならSE構法などの骨組み系、厚い木の板を壁・床に使う中層・大規模ならCLTが候補になります。

CLT工法の施工業者は、一般社団法人日本CLT協会の「相談先企業」検索や会員紹介から探せます。CLTは工場で製作した大判パネルをクレーンで吊って組み立てる工法のため、業者を選ぶときは施工実績に加えて、揚重(クレーン)計画と搬入経路まで提案できるかを確認してください。

4工法の概要

2×4(ツーバイフォー)工法(枠組壁工法)

規格寸法の製材でつくった枠に構造用面材を張り、壁・床・屋根のパネルで建物を構成する工法です。1974年に技術基準が告示されて一般に使える工法(オープン工法)になり、現在の技術基準は平成13年国土交通省告示第1540号です。壁全体で力を受ける面構造が特徴で、住宅で培った施工体制をそのまま非住宅に使えます。

在来軸組工法

柱と梁で骨格をつくり、筋かいや構造用合板の耐力壁で地震力に抵抗する工法です。基本の仕様は建築基準法施行令の木造の規定(第3章第3節)で定められています。大工・プレカット工場が全国にあり、施工体制を確保しやすいのが強みです。

SE構法

柱と梁を専用の金物で接合し、骨組み(ラーメン構造)で力を受けることで、柱や壁の少ない空間をつくる構法です。株式会社エヌ・シー・エヌが提供し、施工は登録施工店が行う仕組みです。対応できる規模・スパンなどの仕様は提供会社の公表情報で確認してください。

CLT(直交集成板)

ひき板(ラミナ)を並べ、繊維方向が直交するように積層接着した厚い大判パネルです。日本では2013年12月に製造規格であるJAS(日本農林規格)が制定され、2016年4月にCLT関連の建築基準法告示が公布・施行されました。壁・床・屋根に使え、工場でパネル化するため現場は組立が中心になります。

【比較表】4工法の違い

項目2×4工法在来軸組SE構法CLT
力の受け方壁・床の面柱・梁+耐力壁柱・梁の接合部(骨組み)厚い板の壁・床
得意な空間壁の多い平面(個室・区画が多い用途)間取りを変えやすい平面柱・壁の少ない大空間中層・大規模、木を見せる空間
施工体制住宅の2×4施工者を転用しやすい大工・プレカット工場が全国にある登録施工店制度専門の施工者、クレーンでの揚重が前提
導入のハードル低い低い登録が必要材料調達・設計・揚重のノウハウが要る
根拠となる基準平13国交告第1540号建築基準法施行令 第3章第3節提供会社の仕様(構造計算で安全を確認)2016年施行のCLT関連告示、JAS

※ 対応できる階数・面積・スパン・耐火性能は、同じ工法でも設計(構造計算・耐火仕様・大臣認定の有無)で変わります。個別の計画では設計者と、発注者の仕様書・最新の法令で確認してください。

どの工法でも、木造で階数3以上または延べ300㎡超になると構造計算が必要です(建築基準法第20条第1項第3号)。中大規模木造は、ほぼすべて構造計算の対象と考えてください。

CLT工法の施工業者の探し方と確認ポイント

探し方

探す場所内容
日本CLT協会「相談先企業」CLTに対応する企業を検索できる
日本CLT協会「会員紹介」協会の会員企業・団体の一覧
日本CLT協会の相談窓口「CLTなんでも窓口」(一般向け)、「CLT企画・設計相談室」(施主・設計者向け)、「CLT構造相談室」(設計者向けの構造相談)

CLTの建物は、設計者・CLTパネルの製造者・施工者の3者の連携で成り立ちます。施工業者だけを先に決めるより、企画段階で設計者と一緒に相談窓口を使い、パネルの製造・加工から施工までの体制を組む方が手戻りが少なくなります。

【チェックリスト】CLT施工業者に確認すること

  • CLTを使った建物の施工実績(同じ用途・規模か、CLTを壁・床のどこに使ったか)
  • パネルの製造・加工を担う工場との連携体制と、材料の手配にかかる期間
  • 揚重計画(クレーンの種類と設置位置、敷地内のヤード、前面道路の搬入条件)
  • パネルの建て方の精度管理と、接合金物の施工方法
  • 雨養生(施工中の雨対策)の方法
  • 耐火・準耐火の仕様を守るための施工管理(被覆・防火区画の納まり)
  • 2×4や鉄骨造と組み合わせる場合の、異なる職種の工程調整

CLTの費用の考え方(材料・揚重・工期の3つに分けて見る)と使いどころは CLT建築とは?非住宅木造での使いどころ で解説しています。

各工法の強みと制約

2×4工法|標準化と住宅技術の転用

  • 規格材とパネル化で施工が標準化されており、品質のばらつきが出にくい
  • 面構造で気密・断熱を確保しやすい
  • 住宅を主力とする工務店が、既存の施工体制で参入しやすい
  • 壁で力を受けるため、柱や壁の少ない大空間は苦手。大空間が必要な部分だけ別の構造と組み合わせる方法もある

2×4で耐火・準耐火の建物をつくる方法は メンブレン型の耐火構造 にまとめています。

在来軸組|設計自由度と施工者の確保

  • 柱・梁のフレームで、開口部の位置や大きさを比較的自由に決められる
  • 増改築や将来の用途変更で壁を動かしやすい
  • 地域材を使いやすく、自治体の木材利用の補助と組み合わせやすい
  • 大スパンには大断面の集成材梁やトラスが必要になり、コストが上がる

SE構法|骨組みで大空間をつくる

  • 専用金物による接合で、柱・壁の少ない店舗・ガレージ・ホールなどに向く
  • 登録施工店の仕組みで施工品質を管理している
  • 専用金物と登録制度の費用がかかるため、大空間が要る案件に絞って採用するのが合理的

CLT|中層・大規模と木の見せ方

  • 厚い板のため、壁・床をそのまま構造体として使える
  • 木を見せる「あらわし」の意匠に使われる(耐火上の条件は設計で確認)
  • 工場製作で現場は組立中心となり、現場の工期短縮・省人化につながる
  • 材料単価が高く、揚重・搬入の計画が費用を左右する。効く部位に絞って使うのが費用を抑える基本

柱の少ない空間をどこまでつくれるかは 木造の大空間・スパンの限界 で詳しく扱っています。

どの工法を選ぶか|判断の手順

手順確認すること候補の絞り方
1必要な空間(柱・壁の少ない大空間が要るか)要らない → 2×4・在来軸組。要る → SE構法などの骨組み系、大断面集成材、または部分的な異種構造との組み合わせ
2規模(階数・延べ面積)と防火上の要求中層・大規模で耐火性能が要る → 耐火仕様の実績がある工法・設計者を選ぶ(CLT、2×4の耐火構造など)
3自社の施工体制住宅の2×4体制がある → 2×4。大工体制がある → 在来軸組。新たな体制が要る工法は協力会社と組む
4材料の調達と工期CLT・大断面材は材料手配の期間を工程に入れる
5費用同じ建物で工法別の概算を並べて比べる

坪単価は用途・規模・仕様で大きく変わるため、工法だけで一律には比べられません。用途別・構造別の目安は 非住宅建築の坪単価一覧 を、工法とフランチャイズ(FC)の選び方は 2×4 vs SE構法 vs 在来軸組:工法・FC比較ガイド を参照してください。

よくある質問(FAQ)

Q. CLTの施工は、普通の工務店でもできますか。 A. 日本CLT協会は、接合具がシンプルで熟練工でなくとも施工が可能と説明しています。ただし大判パネルの揚重計画、建て方の精度管理、防耐火の施工管理が必要なため、最初はCLTの施工実績がある会社と組むのが現実的です。

Q. 2×4と在来軸組、非住宅ではどちらが有利ですか。 A. 壁の多い平面なら2×4、間取りの自由度や将来の変更を重視するなら在来軸組が向きます。どちらも住宅の施工体制を活かせる点は共通です。自社の施工体制に合う方から始めるのが確実です。

Q. SE構法を使うにはどうすればよいですか。 A. 提供会社の登録施工店になる必要があります。条件や費用は提供会社に確認してください。

まとめ

  • 面で受ける2×4・CLTと、骨組みで受ける在来軸組・SE構法に分かれる。必要な空間と施工体制で選ぶ
  • 木造は階数3以上または延べ300㎡超で構造計算が必要。中大規模はほぼ構造計算の対象
  • CLTの施工業者は日本CLT協会の相談先企業・会員紹介で探し、揚重・搬入・精度管理まで提案できるかで選ぶ
  • 対応規模・スパン・耐火性能は工法名だけでは決まらない。設計者と個別に確認する

まずは自社の施工体制に合う工法で実績を積み、案件に応じて対応工法を広げていくのが確実です。工法選びを含めたご相談は 無料相談 からどうぞ。

出典・参考

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