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デイサービス(通所介護)の建物本体の坪単価は、一般的な目安で木造75〜100万円、S造(鉄骨造)90〜120万円、RC造(鉄筋コンクリート造)110〜140万円です。 定員25〜35名・延床約70坪なら、木造で約5,250万〜7,000万円が本体工事の目安になります(入浴設備・送迎車両・外構・土地は別途)。必要な面積の起点は、指定基準の「食堂と機能訓練室の合計が定員×3㎡以上」です。
この記事では、構造別・定員別の費用と、指定基準・建築基準法で押さえる設備の要件を整理します。福祉施設の配置事例は 施工事例|デイサービス・住宅型有料老人ホーム で紹介しています。
構造別の坪単価(デイサービス)
| 構造 | 坪単価の目安 | 工期の目安 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 木造2×4 | 75〜100万円/坪 | 4〜7ヶ月 | 平屋の事業所に向く |
| S造(鉄骨) | 90〜120万円/坪 | 6〜9ヶ月 | 柱の少ない大きな空間をつくりやすい |
| RC造 | 110〜140万円/坪 | 10〜14ヶ月 | 耐火に強いが、重く工期が長くなりやすい |
※ 坪単価・工期は一般的な目安で、公的統計や実績の集計値ではありません。サイトの 建築の坪単価一覧 の「福祉施設(介護等)」と同じ値です。内装造作・入浴設備・厨房機器・送迎用の駐車場などの外構・消費税は含みません。
幅の真ん中どうしで比べると、木造はS造より約17%、RC造より約30%低い水準です。
【計算例】定員別の概算建設費(木造2×4・本体工事)
食堂・機能訓練室(定員×3㎡以上)に、静養室・相談室・事務室・浴室・トイレ・廊下を足して延床を積み上げます。下表の延床面積は一般的な目安です。
| 規模 | 定員の目安(食堂+機能訓練室の最低面積) | 延床面積の目安 | 計算 | 概算建設費 |
|---|---|---|---|---|
| 小規模(地域密着型) | 18名以下(18名で54㎡以上) | 約50坪 | 50坪 × 75〜100万円 | 約3,750万〜5,000万円 |
| 標準 | 25〜35名(75〜105㎡以上) | 約70坪 | 70坪 × 75〜100万円 | 約5,250万〜7,000万円 |
| 大規模 | 40名以上(40名で120㎡以上) | 約100坪 | 100坪 × 75〜100万円 | 約7,500万〜1.0億円 |
土地・外構・送迎車両・入浴設備は別途です。自社の計画での概算は 非住宅木造の建設費 概算の出し方 で試算できます。
入浴設備の費用(本体とは別に見込む)
| 入浴設備 | 費用の一般的な目安 |
|---|---|
| 個浴(一般浴)数槽 | 約200〜500万円 |
| 機械浴(リフト浴・チェア浴) | 1台あたり約300〜700万円 |
| 特浴(ストレッチャー浴) | 1台あたり約500〜1,000万円 |
※ 機器の仕様・メーカー・据付工事の範囲で大きく変わる一般的な目安です。見積で機器と給排水・給湯の工事の範囲を確認してください。
【早見表】通所介護の設備基準(指定基準 第95条)
指定通所介護事業所の設備は、「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」(厚生省令)第95条で定められています。
| 項目 | 基準 |
|---|---|
| 必要な部屋 | 食堂、機能訓練室、静養室、相談室、事務室。消火設備その他の非常災害に必要な設備 |
| 食堂・機能訓練室の面積 | それぞれ必要な広さを持ち、合計で3㎡×利用定員以上 |
| 食堂と機能訓練室の兼用 | 食事の提供と機能訓練の実施のそれぞれに支障がない広さを確保できれば、同じ場所にできる |
| 相談室 | 遮へい物の設置などで、相談の内容が漏れないよう配慮する |
| 専用 | 設備は原則として通所介護の事業専用(提供に支障がない場合を除く) |
| 夜間の他サービス | 設備を使って夜間・深夜に通所介護以外のサービス(いわゆるお泊まりデイ)を提供する場合は、開始前に指定権者へ届け出る |
- 入浴室は第95条の必須の部屋には挙がっていませんが、入浴の介助を行うなら浴室と脱衣の動線が延床と費用の大きな要素になります。
- 指定権者(指定を出す行政)は、通常の通所介護は都道府県知事(指定都市・中核市は市長)です。基準の細部は自治体の条例で定められるため、所管の自治体で確認してください。
地域密着型通所介護(定員18人以下)
利用定員が19人未満の通所介護は「地域密着型通所介護」で、指定は市町村長が行います(介護保険法第8条第17項、同法施行規則第10条の2)。定員の設定で指定の窓口と報酬の区分が変わるため、建物の規模を決める前に定員を決めます。
【計算例】定員から食堂・機能訓練室の最低面積を出す
| 定員 | 計算 | 食堂+機能訓練室の最低面積 |
|---|---|---|
| 18名 | 18 × 3㎡ | 54㎡(約16坪) |
| 25名 | 25 × 3㎡ | 75㎡(約23坪) |
| 35名 | 35 × 3㎡ | 105㎡(約32坪) |
※ 1坪=約3.306㎡で換算。これは最低面積で、テーブル・訓練機器の配置や車椅子の回転を考えると、実際にはこれより広く計画するのが一般的です。
建築基準法で押さえるポイント
老人デイサービスセンターなどの老人福祉施設は、建築基準法施行令第19条の「児童福祉施設等」に含まれ、別表第一(二)項の特殊建築物として扱われます(施行令第115条の3)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 採光 | 通う人の訓練・日常生活の便宜などに使う居室は、床面積の1/7以上の採光に有効な開口(照明設備などの措置で緩和できる場合あり)(法第28条、令第19条) |
| 防火上の間仕切壁 | 防火上主要な間仕切壁を準耐火構造とし、小屋裏・天井裏まで達せしめる(スプリンクラー設備を設けた部分などの除外あり)(令第114条第2項) |
| 内装制限 | 準耐火建築物などでない建築物では、その用途の床面積の合計が200㎡以上で壁・天井の仕上げに制限がかかる(法第35条の2、令第128条の4) |
| 耐火性能 | 3階以上の階をその用途に使う場合や、2階部分の床面積の合計が300㎡以上の場合は、法第27条により主要構造部に所定の耐火性能が必要 |
採光の基準は、窓を取りにくい奥の部屋を機能訓練室にする計画で問題になりやすい項目です。用途の扱いと合わせて、設計の初期に所管行政庁と確認してください。耐火の要否は 非住宅木造の耐火基準 を参照してください。
デイサービス特有の設計ポイント
1日の流れを平面に落とす
通所介護には「来所 → 健康チェック → 入浴 → 機能訓練 → 昼食 → レクリエーション → 送迎」という1日の流れがあります。この流れに沿って、浴室・食堂・機能訓練室・静養室を利用者と職員の動線が交差しないよう配置すると、少ない職員でも回しやすくなります。入浴は時間帯が集中するため、脱衣・入浴・休憩の動線を分けるのがポイントです。
送迎動線と車寄せ
利用者が送迎車で一斉に到着・出発するため、敷地計画で送迎動線が運営効率を左右します。車椅子のまま乗り降りできる庇付きの車寄せや、福祉車両のリフト操作のスペースを玄関前に確保すると、朝夕の送迎がスムーズです。送迎車と職員・来客の駐車は敷地に余裕が要るため、建物の延床だけでなく敷地全体の配置で検討してください。
平屋を基本に考える
車椅子や歩行器の利用者が多いため、平屋なら縦の移動がなく、避難も計画しやすくなります。2階建てにする場合は、エレベーターと避難の計画が必要になり、その分コストが上がります。
法定耐用年数
減価償却に使う法定耐用年数は、構造と用途の区分で決まります(減価償却資産の耐用年数等に関する省令 別表第一)。同じ木造でも、事務所用(および別表で他に挙がっていない用途)は24年、住宅用・寄宿舎用は22年など区分で年数が違います。デイサービスの建物がどの区分に当たるかは、税理士・所轄の税務署で確認してください。詳しくは 非住宅木造の減価償却と節税 を参照してください。
よくある質問(FAQ)
Q. 既存の住宅や店舗を改修してデイサービスにできますか? A. できる場合があります。ただし指定基準(食堂と機能訓練室の合計が定員×3㎡以上、静養室・相談室・事務室、消火設備など)と、建築基準法の用途変更の手続きや採光・防火の規定を満たす必要があります。改修費と新築費を両方見積もって比べてください。
Q. お泊まりデイ(宿泊サービス)を併設したい場合は? A. 通所介護の設備を使って夜間・深夜に宿泊サービスを提供する場合は、開始前に指定権者へ届け出る必要があります(指定基準 第95条第4項)。宿泊室や夜間の見守りの動線、寝室としての採光・防火の扱いを計画段階で確認してください。
Q. 機械浴は必ず入れるべきですか? A. 想定する利用者の介護度で判断します。比較的自立した利用者が中心なら個浴、重度の利用者を受け入れるなら機械浴を検討します。機械浴は高額なため、利用者層と運営の方針で決めてください。
Q. 地域密着型と通常規模では、建物は何が違いますか? A. 必要な部屋の考え方は同じで、定員が小さいぶん延床も小さくなります。指定権者(市町村か都道府県か)と報酬の区分が変わるため、事業計画と合わせて定員を決めてください。
まとめ
| 項目 | ポイント |
|---|---|
| 坪単価の目安 | 木造75〜100万円、S造90〜120万円、RC造110〜140万円(本体工事) |
| 総額の目安 | 定員25〜35名・約70坪で木造約5,250万〜7,000万円(入浴設備・外構は別途) |
| 指定基準 | 食堂・機能訓練室・静養室・相談室・事務室。食堂+機能訓練室は定員×3㎡以上 |
| 地域密着型 | 定員18人以下(19人未満)。指定は市町村長 |
| 建築基準法 | 児童福祉施設等として(二)項。訓練等の居室の採光1/7、200㎡以上で内装制限など |
デイサービスの新規開設・建替えをご検討中の運営事業者様は、概算費用の試算からお気軽にご相談ください。関連用途は 木造グループホームの設計と建設・サ高住の建設費と坪単価、指定基準から延床を出す手順は 福祉施設を木造で設計する実務ガイド にまとめています。
出典・参考
- 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(e-Gov法令検索)第95条: https://laws.e-gov.go.jp/law/411M50000100037
- 介護保険法(e-Gov法令検索)第8条第17項(地域密着型通所介護): https://laws.e-gov.go.jp/law/409AC0000000123
- 介護保険法施行規則(e-Gov法令検索)第10条の2(利用定員19人): https://laws.e-gov.go.jp/law/411M50000100036
- 建築基準法(e-Gov法令検索)第27条・第28条・第35条の2・別表第一: https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000201
- 建築基準法施行令(e-Gov法令検索)第19条・第114条・第115条の3・第128条の4: https://laws.e-gov.go.jp/law/325CO0000000338
- 減価償却資産の耐用年数等に関する省令(e-Gov法令検索)別表第一: https://laws.e-gov.go.jp/law/340M50000040015
- 坪単価・工期・延床面積・入浴設備費用の目安:公的な統計ではなく、一般的な目安(民間の情報)です

