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サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)の建物本体の坪単価は、一般的な目安で木造85〜115万円、S造(鉄骨造)105〜135万円、RC造(鉄筋コンクリート造)125〜165万円です。 30〜40戸・延床約250坪なら、木造で約2.1億〜2.9億円が本体工事の目安になります(家具・厨房機器・外構・土地は別途)。国の「サービス付き高齢者向け住宅整備事業」では、令和8年度の新築で建設費の1/3・1戸あたり上限150万円などの補助が設けられています。
サ高住は、登録基準の住戸面積が延床面積と建設費を直接決める用途です。この記事では、構造別・戸数別の費用、登録基準、補助金と税制特例、建築基準法上の扱いを整理します。
構造別の坪単価(サ高住)
| 構造 | 坪単価の目安 | 工期の目安 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 木造2×4 | 85〜115万円/坪 | 8〜12ヶ月 | 2階建てまでの計画に向く |
| S造(鉄骨) | 105〜135万円/坪 | 10〜14ヶ月 | 中高層に対応しやすい |
| RC造 | 125〜165万円/坪 | 14〜20ヶ月 | 遮音・耐火に強いが、重く工期が長くなりやすい |
※ 坪単価・工期は一般的な目安で、公的統計や実績の集計値ではありません。サイトの 建築の坪単価一覧 にサ高住の行はありません。各住戸の水回りやバリアフリー、見守りの設備を見込むため、一覧の「共同住宅(賃貸)」(木造70〜95万円)や「福祉施設(介護等)」(木造75〜100万円)より高めに見ています。家具・厨房機器・外構・消費税は含みません。
幅の真ん中どうしで比べると、木造はS造より約17%、RC造より約31%低い水準です。
【計算例】戸数別の概算建設費(木造2×4・本体工事)
| 規模 | 戸数の目安 | 延床面積の目安 | 計算 | 概算建設費 |
|---|---|---|---|---|
| 小規模 | 20戸前後 | 約150坪 | 150坪 × 85〜115万円 | 約1.3億〜1.7億円 |
| 標準 | 30〜40戸 | 約250坪 | 250坪 × 85〜115万円 | 約2.1億〜2.9億円 |
| 大規模 | 50戸以上 | 約350坪 | 350坪 × 85〜115万円 | 約3.0億〜4.0億円 |
延床面積は住戸の広さと、食堂・浴室・廊下・事務室などの共用部の取り方で変わります。自社の計画での概算は 非住宅木造の建設費 概算の出し方 で試算できます。
【早見表】サ高住の登録基準(建物に関わるもの)
サ高住は、高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)にもとづき、建物ごとに都道府県知事(政令市・中核市などでは市長)の登録を受ける住宅です。登録は5年ごとの更新制です(同法第5条)。
| 項目 | 基準 |
|---|---|
| 住戸の床面積 | 各住戸25㎡以上。居間・食堂・台所など高齢者が共同で使う部分が十分な面積を持つ場合は18㎡以上(法第7条第1項第1号、施行規則第8条) |
| 住戸の設備 | 原則として各住戸に台所・水洗便所・収納設備・洗面設備・浴室。共用部分に適切な台所・収納設備・浴室を備えて同等以上の居住環境を確保する場合は、各住戸の台所・収納設備・浴室を省ける(施行規則第9条) |
| バリアフリー | 加齢対応構造等(段差のない床、手すりなど)の基準に適合すること(法第7条第1項第3号) |
| 状況把握・生活相談 | 医師・看護師・介護福祉士・社会福祉士・介護支援専門員・介護職員初任者研修の修了者などが、原則として夜間を除き、敷地内または隣接・近接する建物に常駐してサービスを提供。状況把握は毎日1回以上(施行規則第11条) |
- 水洗便所と洗面設備は、18㎡型でも各住戸に必要です(施行規則第9条で省けるのは台所・収納設備・浴室)。
- 職員の常駐場所を敷地内に置くなら、事務・相談のスペースを最初から計画に入れます。
「25㎡型」か「18㎡+共用充実型」か
| タイプ | 1戸の面積 | 30戸の住戸合計 | 共用部の考え方 |
|---|---|---|---|
| 25㎡型 | 25㎡/戸 | 750㎡ | 各住戸に台所・浴室まで持たせ、自立度の高い暮らしを想定 |
| 18㎡+共用充実型 | 18㎡/戸 | 540㎡ | 食堂・浴室・談話室など共用部を厚くする |
18㎡型は住戸の合計を約210㎡減らせますが、その分共用部を十分にとる必要があるため、延床がそのまま減るわけではありません。また、次に述べるとおり令和8年度の整備事業では、新築の補助の要件に「床面積25㎡以上」があるため、補助を使う計画かどうかで住戸タイプの選び方が変わります。
補助金と税制特例(令和8年度)
サービス付き高齢者向け住宅整備事業
国が民間事業者・医療法人・社会福祉法人などに建設・改修費を直接補助する事業です(国土交通省、補助期間は令和12年度まで)。令和8年度の主な内容は次のとおりです。
| 対象 | 補助率 | 上限 |
|---|---|---|
| 住宅(新築) | 1/3 | 150万円/戸(戸あたり20㎡を超える面積に相当する事業費が補助対象) |
| 住宅(改修) | 1/3 | 234万円/戸 |
| 高齢者生活支援施設 | 1/3 | 1,250万円/施設(新築では介護関連施設などの建設費は対象外) |
主な要件は、サ高住として10年以上登録すること、家賃が近傍同種の住宅と均衡していること、入居者が任意の事業者の介護サービスを使えることなどです。新築ではさらに、床面積25㎡以上、台所・浴室(共同の浴室がない場合)・洗面・収納の設置、健康維持やフレイル予防の取組(月1回以上)、地域住民も使える交流スペース(原則)といった「良質なサ高住」の要件があります。令和7年度までに設計に着手した案件は、補助対象・補助率は令和7年度と同様で、限度額は令和7年度の1/2とされています。ZEH水準の整備などには加算があります。
内容は年度ごとに見直されるため、申請時は サービス付き高齢者向け住宅整備事業 事務局 の最新の要領で確認してください。
【計算例】30戸の新築で受けられる補助の上限
上限額で見ると、150万円 × 30戸 = 最大4,500万円です。実際の補助額は、補助対象となる事業費の1/3と上限額を比べて決まり、要件を満たさない部分は対象外になります。上の計算例(30〜40戸で約2.1億〜2.9億円)と並べて、自己資金と借入の計画を立ててください。
税制特例(固定資産税・不動産取得税)
国の建設費補助を受けた新築のサ高住で、床面積が1戸30㎡以上160㎡以下(共用部分を含む)、10戸以上、主要構造部が準耐火構造であるか特定主要構造部が耐火構造であることなどの要件を満たすと、固定資産税の減額(5年間、市町村の条例で定める割合)や不動産取得税の軽減が受けられます。適用期限は令和9年3月31日までの取得です。木造でも準耐火構造で計画すれば対象になり得るため、構造の選択と合わせて検討してください。
木材利用に対する助成と組み合わせられる場合もあります(非住宅木造に使える補助金・助成金まとめ)。
建築基準法上の扱いと設計のポイント
共同住宅か老人ホーム等か
サ高住は、住戸の設備などの計画によって、建築基準法上「共同住宅」として扱われる場合と、「有料老人ホーム」など児童福祉施設等(施行令第19条・第115条の3)として扱われる場合があります。どちらも別表第一(二)項の特殊建築物で、3階以上の階をその用途に使う場合や、2階部分の床面積の合計が300㎡以上の場合は、法第27条により主要構造部に所定の耐火性能が求められます(階数3で延べ面積200㎡未満の例外などあり)。用途の判断は設計の初期に所管行政庁と確認してください。耐火の要否は 非住宅木造の耐火基準 を参照してください。
居室間の遮音
共同住宅として扱う場合は、各戸の界壁に建築基準法第30条の遮音の基準がかかります。老人ホーム等として扱う場合は同条の対象外ですが、入居者のプライバシーのために遮音の目標を決めて仕様に落とし込みます。詳細は 木造の防音・遮音性能は大丈夫? を参照してください。
見守り・緊急通報の設備
状況把握サービスに対応するため、各住戸の緊急通報装置と職員の常駐場所への通報の集約、見守りセンサーなどの配線・端末を企画段階で計画しておくと、後付けの工事を避けられます。
法定耐用年数
減価償却に使う法定耐用年数は、構造と用途で決まります(減価償却資産の耐用年数等に関する省令 別表第一)。賃貸住宅として住宅用の区分に当たる場合は、木造22年、RC造47年です。どの区分を適用するかは税理士に確認してください。詳しくは 非住宅木造の減価償却と節税 を参照してください。
よくある質問(FAQ)
Q. サ高住は何階まで木造で建てられますか? A. 2階建てまでが計画しやすい規模です。3階以上をサ高住に使う場合は法第27条の耐火性能がかかるため、木造3階建て非住宅は建てられる? も参照してください。
Q. 介護付き有料老人ホームにしたい場合は? A. サ高住と介護付き有料老人ホーム(特定施設)では、介護保険の指定基準や人員配置が異なり、必要な部屋も変わります。どの類型で運営するかを先に決め、それに合わせて計画してください。介護系の他用途は 木造グループホームの設計と建設 も参考になります。
Q. 補助金は必ず受けられますか? A. 予算と要件があり、年度ごとに内容が見直されます。「採択されれば自己負担が軽くなる」ものとして資金計画を組み、企画段階で最新の要領を確認してください。
Q. 併設するデイサービスの費用も補助の対象ですか? A. 令和8年度の新築では、介護関連施設などの建設費は高齢者生活支援施設の補助の対象外とされています。デイサービスの費用は デイサービスの建設費と坪単価 を参照してください。
まとめ
| 項目 | ポイント |
|---|---|
| 坪単価の目安 | 木造85〜115万円、S造105〜135万円、RC造125〜165万円(本体工事) |
| 総額の目安 | 30〜40戸・約250坪で木造約2.1億〜2.9億円 |
| 登録基準 | 各住戸25㎡以上(共用が十分なら18㎡以上)。水洗便所・洗面は各住戸に |
| 補助(令和8年度) | 新築1/3・上限150万円/戸。新築は25㎡以上などの要件 |
| 税制特例 | 30〜160㎡/戸・10戸以上・準耐火構造以上などで固定資産税等を軽減(令和9年3月31日まで) |
| 建築基準法 | 共同住宅でも老人ホーム等でも別表第一(二)項。3階以上や2階300㎡以上は耐火性能 |
サ高住の新築をご検討中の運営事業者・投資家様は、概算費用の試算からお気軽にご相談ください。介護系の他用途は 木造グループホームの設計と建設・施工事例|特別養護老人ホーム もご覧ください。
出典・参考
- 高齢者の居住の安定確保に関する法律(e-Gov法令検索)第5条・第7条: https://laws.e-gov.go.jp/law/413AC0000000026
- 国土交通省・厚生労働省関係高齢者の居住の安定確保に関する法律施行規則(e-Gov法令検索)第8条〜第11条: https://laws.e-gov.go.jp/law/423M60000900002
- サービス付き高齢者向け住宅整備事業 事務局(令和8年度 募集内容の概要・交付申請要領): https://koreisha.mlit.go.jp/service/
- 建築基準法(e-Gov法令検索)第27条・第30条・別表第一: https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000201
- 建築基準法施行令(e-Gov法令検索)第19条・第115条の3: https://laws.e-gov.go.jp/law/325CO0000000338
- 減価償却資産の耐用年数等に関する省令(e-Gov法令検索)別表第一: https://laws.e-gov.go.jp/law/340M50000040015
- 坪単価・工期・延床面積の目安:公的な統計ではなく、一般的な目安(民間の情報)です

