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木造3階建ての非住宅は、用途・地域・延べ面積の条件を満たせば建てられます。 事務所のように特殊建築物でない用途は、高さ16m以下・延べ3,000㎡以下で、防火地域・準防火地域の外であれば、耐火建築物・準耐火建築物の要求はかかりません(建築基準法第21条)。一方、共同住宅・店舗・福祉施設などの特殊建築物で3階をその用途に使うと、第27条により耐火建築物などが求められます(共同住宅・学校は条件つきで1時間準耐火の仕様も可)。
構造は、木造で階数3以上なら許容応力度計算(構造計算)が必須です(第20条第1項第3号)。この記事では、用途別の規制、地域による違い、構造計算、建設費の目安を早見表にまとめます。
【早見表1】用途別|木造3階建てに求められる防火性能
防火地域・準防火地域の外で、高さ16m以下・延べ3,000㎡以下の場合の整理です(国土交通省「ここまでできる木造建築のすすめ 防・耐火の法規制」をもとに条文で確認)。
| 用途 | 3階をその用途に使う場合 | 根拠 |
|---|---|---|
| 事務所 | 特殊建築物ではないため、耐火・準耐火の要求なし | 第21条(階数4以上・高さ16m超・延べ3,000㎡超が対象) |
| 共同住宅・寄宿舎 | 耐火建築物など。ただし防火地域以外で告示の条件(1時間準耐火構造、周囲の幅3m以上の通路など)を満たせば準耐火建築物で可(いわゆる木三共) | 第27条第1項、平成27年国土交通省告示第255号 |
| 学校 | 耐火建築物など。告示の条件を満たせば1時間準耐火構造で可(いわゆる木三学) | 同上 |
| 物品販売店舗・飲食店 | 耐火建築物など | 第27条第1項(別表第一(四)項) |
| 老人福祉施設・保育所などの児童福祉施設等 | 耐火建築物など。特別養護老人ホームなどは、建築基準法とは別に設置基準(都道府県の条例)でも構造の要件がかかる | 第27条第1項(別表第一(二)項)、施行令第115条の3 |
- 階数3で延べ200㎡未満の建物は、第27条第1項第1号の対象から除かれます(3階を就寝に使う共同住宅・寄宿舎などは警報設備の設置が条件)。
- 3階を特殊建築物の用途に使わない場合でも、2階の部分の床面積で第27条にかかることがあります(例:(二)項は2階300㎡以上、(四)項は2階500㎡以上)。
- 「耐火建築物など」には、告示の構造方法や大臣認定による避難時倒壊防止構造も含まれます。
用途×規模の詳しい判定は 木造の耐火・準耐火の基準|法27条・61条の用途×規模早見表 にまとめています。
【早見表2】地域による違い(第61条)
| 地域 | 木造3階建てに求められる性能 | 根拠 |
|---|---|---|
| 防火地域 | 耐火建築物、または同等の延焼防止性能をもつ建築物 | 第61条、施行令第136条の2第1号 |
| 準防火地域(延べ1,500㎡以下) | 準耐火建築物、または同等の延焼防止性能をもつ建築物 | 第61条、施行令第136条の2第2号 |
| 準防火地域(延べ1,500㎡超) | 耐火建築物、または同等の延焼防止性能をもつ建築物 | 第61条、施行令第136条の2第1号 |
| 指定なし | 第61条の要求なし(用途・規模による早見表1の要求は別にかかる) | ― |
早見表1と早見表2は別々に判定し、いちばん厳しい要求を満たします。
【判定フロー】木造3階建て非住宅を建てられるか
- 地域:防火地域か、準防火地域か、指定なしか(早見表2)
- 用途:3階・2階を特殊建築物の用途に使うか(早見表1)
- 規模:高さ16m超・延べ3,000㎡超にならないか(超えると第21条で耐火などの要求)
- 区画:延べ1,000㎡超なら防火壁で区画(耐火・準耐火建築物なら不要。第26条)、準耐火建築物などで延べ1,500㎡超なら面積区画(施行令第112条第1項)
- 構造:許容応力度計算(ルート1)で安全性を確かめる
- 避難・バリアフリー:直通階段の数(施行令第121条)、用途・規模によるバリアフリー法の基準
- 1〜6で最も厳しい要求を満たす仕様を決め、所管行政庁・指定確認検査機関に事前相談する
構造計算は必須(ルート1)
建築基準法第20条第1項第3号により、木造で地階を除く階数が3以上、または延べ面積300㎡超の建物は、許容応力度計算(部材に生じる力が材料の許容値を超えないかを確かめる計算)が必要です。高さ16m以下・階数3以下ならルート1で、構造計算適合性判定(適判)は原則不要です。高さが16mを超えると、より高度な計算(ルート2以上)になります。
確認申請では、木造3階建ては新2号建築物にあたり、構造の審査が省略されません(2025年4月施行の改正)。詳しくは 木造の構造計算が必要な規模は? と 4号特例の縮小はいつから? を参照してください。
建設費の目安
3階建てになると、耐火被覆・構造の補強・階段やエレベーターなどの縦の動線の費用が加わります。用途ごとの坪単価の一般的な目安(建物本体、消費税・外構・設計監理費は含まない)は次のとおりで、当サイトの 建築の坪単価一覧 と同じ値です。階数や耐火仕様による上振れは個別の見積で確認してください。
| 用途 | 木造2×4 | S造(鉄骨) | RC造 |
|---|---|---|---|
| 事務所 | 65〜90万円 | 80〜110万円 | 100〜130万円 |
| 共同住宅(賃貸) | 70〜95万円 | 85〜115万円 | 105〜140万円 |
| 福祉施設(介護等) | 75〜100万円 | 90〜120万円 | 110〜140万円 |
| カフェ・物販店 | 70〜100万円 | 90〜120万円 | 110〜140万円 |
当サイトの施工事例では、木造3階建共同住宅(2×4工法・準耐火60分・延床約298㎡)が本体坪単価約88万円・工期約7.5ヶ月、3階建長屋住宅(延床約281㎡)が本体坪単価約90万円・工期約7ヶ月でした。自社の用途・規模での概算は 非住宅木造の建設費 概算の出し方 で試算できます。
3階建てで費用が増える要因
- 縦の動線:階段の数(避難規定)と、用途によってはエレベーター
- 耐火被覆:準耐火・耐火に必要な強化せっこうボードなどの被覆(メンブレン型耐火構造とは)
- 構造の補強:上階の荷重と地震力を受けるための耐力壁・床・基礎
【チェックリスト】企画段階で確認する7項目
- 敷地の防火指定(防火地域・準防火地域・指定なし)と用途地域
- 1〜3階の各階に入る用途と、その床面積(特に3階と2階)
- 高さが16m以下に収まるか、延べ面積が1,000㎡・1,500㎡・3,000㎡のどこに当たるか
- 共同住宅・学校で準耐火を使う場合、告示の条件(周囲の通路など)を敷地で満たせるか
- 福祉施設の場合、設置基準(都道府県の条例)の構造の要件
- 構造計算を担当する構造設計者と、確認申請のスケジュール
- 階段・エレベーターの計画(避難規定・バリアフリー法)
よくある質問
Q. 木造3階建ては地震に弱くないですか。 A. 3階建ては許容応力度計算で安全性を確かめることが義務です。木造は建物が軽いため、地震で建物に働く力(建物の重さに比例)が小さくなります。詳しくは 木造非住宅の耐震性能は大丈夫? を参照してください。
Q. 1階を店舗・事務所、2〜3階を住宅や寮にする計画はできますか。 A. できます。ただし用途ごとに第27条の判定を行い、用途が混在する部分には異種用途区画(施行令第112条)が必要になる場合があります。計画段階で用途ごとの床面積を整理してください。
Q. 4階建て以上は木造で建てられますか。 A. 建てられますが、階数4以上は第21条で耐火建築物など(または告示の75分間準耐火などの措置)が求められ、構造計算もルート2以上になります。木造4階建ては建てられる? を参照してください。
Q. エレベーターは必ず必要ですか。 A. バリアフリー法では、老人ホーム・店舗などの特別特定建築物で床面積の合計2,000㎡以上(公衆便所は50㎡以上)の新築などが基準適合の義務の対象です(同法施行令第9条)。自治体の条例で対象を広げている場合もあります。用途上の必要性(福祉施設など)も含めて、計画段階で確認してください。
Q. 工期はどのくらいですか。 A. 規模・仕様で変わります。当サイトの施工事例では、延床約300㎡の木造3階建共同住宅が着工から引渡しまで約7.5ヶ月でした。
まとめ
- 木造3階建ての非住宅は、用途・地域・規模の条件を満たせば建てられる
- 事務所は高さ16m以下・延べ3,000㎡以下なら、防火・準防火地域の外で耐火要求なし
- 共同住宅・店舗・福祉施設で3階を使うと第27条の対象。共同住宅・学校は条件つきで1時間準耐火の仕様あり
- 防火地域は耐火、準防火地域は延べ1,500㎡以下なら準耐火相当
- 構造計算(許容応力度計算)は必須
※ 本記事は一般的な制度の説明です。個別の計画は、最新の法令・告示と所管の特定行政庁・指定確認検査機関にご確認ください。
出典・参考
- 建築基準法(第20条、第21条、第26条、第27条、第61条、別表第一)|e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000201
- 建築基準法施行令(第112条、第115条の3、第121条、第136条の2)|e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/325CO0000000338
- 国土交通省「ここまでできる木造建築のすすめ 防・耐火の法規制」 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001876987.pdf
- 平成27年国土交通省告示第255号(法第27条第1項の構造方法)|国立国会図書館 日本法令索引 https://hourei.ndl.go.jp/simple/detail?lawId=0000134676¤t=-1
- 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律施行令(第5条、第9条)|e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418CO0000000379

