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工務店の多角化経営|住宅依存から抜け出す7つの事業メニュー

工務店の多角化経営|住宅依存から抜け出す7つの事業メニュー

※ 画像はイメージです

工務店の多角化は、「既存の施工力を転用できる事業(非住宅木造・リフォーム)」から始め、「許可・登録や資金が必要な事業(不動産・賃貸)」は体制を整えてから広げるのが基本です。 あわせて、DX(デジタル化)やAI活用で今の業務の生産性を上げておくと、新しい事業に人と時間を回せます。

背景には住宅市場の縮小があります。国土交通省の建築着工統計では、令和7年の新設住宅着工戸数は740,667戸で前年比6.5%減(3年連続の減少)、工務店の主な市場である持家は201,285戸で前年比7.7%減(4年連続の減少)でした。本記事では、多角化の7つのメニューを、必要な許可・登録と初期投資の観点で比較します。

この記事の数値について: 住宅着工の数値は国土交通省「建築着工統計調査報告(令和7年計)」、許可・登録の基準は国土交通省の公表資料によります(2026年10月時点)。難易度・初期投資の大小は当サイトによる一般的な整理で、統計に基づく評価ではありません。

【比較表】工務店の多角化メニュー7つ

多角化メニュー必要な許可・登録初期投資既存技術の活かし方収益への効き方
1. 非住宅木造への参入建設業許可(建築一式で1件1,500万円以上などの工事を請ける場合)小〜中◎ 木造の施工力をそのまま使える売上の柱を増やす
2. リフォーム・リノベーションの強化建設業許可(1件500万円以上の専門工事などを請ける場合)小◎既存顧客から継続的な受注
3. 不動産の仲介・売買宅地建物取引業の免許中△ 新しい知識と人材が必要建築の前段階から関われる
4. 賃貸経営・賃貸管理自ら貸すだけなら宅建業の免許は不要。管理を受託して200戸以上なら賃貸住宅管理業の登録大(自ら建てる場合)○安定した賃料・管理収入
5. 自社業務のDX不要小○利益率の改善
6. AI活用による生産性向上不要小○事務作業の時間を減らす
7. FC(フランチャイズ)加盟事業内容による中○ノウハウとブランドを借りる

※ 建設業許可が不要な「軽微な建設工事」は、建築一式工事なら1件の請負代金1,500万円未満または延べ面積150㎡未満の木造住宅工事、それ以外の工事なら1件500万円未満です(いずれも消費税を含む)。

それぞれのメニューの要点

1. 非住宅木造への参入|施工力を最も転用しやすい

事務所・店舗・倉庫・福祉施設などの非住宅でも、木造の施工技術はそのまま活かせます。住宅に比べて1件の規模が大きく、施主は法人や土地オーナーになるため、見積の根拠・工程・法規への対応を書面で示す力が求められます。建築一式工事で1件1,500万円以上の工事を元請として請けるには建設業許可が必要です。なぜ非住宅が工務店の新規事業に向くかは 工務店の新規事業、非住宅木造が最適解である5つの理由、進め方は 工務店の非住宅参入 完全ロードマップ、利益の残し方は 非住宅案件の価格戦略と粗利設計 を参照してください。

2. リフォーム・リノベーションの強化

これまでに建てた住宅の施主が、そのまま顧客になります。設備の更新・外装・断熱改修などで継続的に関係を保てるのが利点です。1件500万円以上の専門工事(建築一式以外)を請けるには、その業種の建設業許可が必要です。

3. 不動産の仲介・売買

土地探しから関われれば、建築の受注につなげやすくなります。宅地・建物の売買や、売買・貸借の代理・媒介を業として行うには宅地建物取引業の免許が必要です(1つの都道府県に事務所を置く場合は知事、2つ以上なら国土交通大臣の免許。有効期間は5年)。事務所ごとに業務に従事する者5人に1人以上の割合で専任の宅地建物取引士を置くこと、営業を始めるまでに営業保証金(主たる事務所1,000万円、その他の事務所ごとに500万円)を供託することなどが求められ、体制づくりにも時間と資金がかかります。

4. 賃貸経営・賃貸管理

自社で建てて自ら貸すだけなら、宅地建物取引業には当たりません(自ら行う貸借は宅建業の範囲外)。一方、オーナーから賃貸住宅の管理を受託する事業は、管理戸数(自己所有の物件を除く)が200戸以上になると賃貸住宅管理業の登録が義務です(賃貸住宅管理業法。令和3年6月15日全面施行)。賃貸経営は資金と空室のリスクを負うため、利回りの落とし穴は 木造アパート経営の失敗パターン で確認してください。

5. 自社業務のDX|利益率を底上げする

見積・原価管理・工程管理・写真管理をデジタル化すると、同じ売上でも手元に残る利益を増やしやすくなります。新しい事業の前に、足元の業務で人の手間を減らしておくことが多角化の土台になります。

6. AI活用による生産性向上|初期投資が小さく始めやすい

見積書や提案資料の下書き、議事録、法令・仕様の調べもの、図面チェックの下準備など、AIで手間を減らせる事務作業は多くあります。大きな設備投資が不要で、社内で使い方を決めればすぐに始められるのが利点です。ただし、出力の内容は人が確認することが前提です。

7. FC加盟による新事業

ノウハウ・ブランド・営業支援をまとめて得られる反面、加盟金・ロイヤリティと、事業の進め方の自由度とのトレードオフがあります。自社単独で参入する場合との比較は フランチャイズ vs 自社で非住宅参入 で整理しています。

どう組み合わせるか|事業ポートフォリオの考え方

多角化は「全部やる」ことではありません。短期で利益率を上げる施策(DX・AI活用)と、中期で売上の柱を作る施策(非住宅参入・リフォーム・不動産)を組み合わせるのが基本です。

段階取り組み判断の目安
1. 足元を整えるDX・AI活用で見積・事務作業の時間を減らす新事業に回せる人の時間を作れたか
2. 施工力を転用する非住宅木造・リフォームの受注建設業許可の業種・規模の条件を満たしているか
3. 川上・川下に広げる不動産仲介・賃貸管理・自社での賃貸経営免許・登録と、資金・人材の体制があるか

工務店全体の生き残り戦略は 工務店の生き残り経営戦略 でも解説しています。

【チェックリスト】多角化を始める前に確認すること

  • 自社の売上のうち、新築住宅(特に持家)に依存している割合を把握したか
  • 新しい事業に必要な許可・登録(建設業許可の業種、宅建業の免許、賃貸住宅管理業の登録)を確認したか
  • その事業を担う人材(宅地建物取引士、施工管理の担当者など)を確保できるか
  • 初期投資と、黒字になるまでの資金を用意できるか
  • 既存の顧客・協力会社・技術をどう活かすかを決めたか
  • DX・AI活用で、新事業に回す時間を作れるか

まずは「AI活用」で体力をつけることから

7つのメニューのうち、初期投資が小さく、すぐに始められるのがAI活用です。見積・提案・事務作業の時間を減らせれば、その時間を非住宅の営業や新しい事業の準備に回せます。

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よくある質問(FAQ)

Q. 工務店の多角化は何から始めるべきですか? A. 既存の施工力を使える非住宅木造やリフォームから始め、並行してDX・AI活用で業務の時間を減らすのが進めやすい順番です。許可・登録が必要な不動産・賃貸管理は、体制を整えてから広げます。

Q. 自社で建てたアパートを貸すのに宅建業の免許は必要ですか? A. 自ら貸すだけなら宅地建物取引業には当たらず、免許は不要です。他人の物件の売買・貸借を仲介する場合は免許が必要です。

Q. 非住宅の工事を請けるのに建設業許可は必要ですか? A. 建築一式工事で1件の請負代金が1,500万円以上(消費税を含む)の工事を請ける場合は必要です。非住宅は1件の規模が大きくなりやすいため、許可の業種と区分を事前に確認してください。

まとめ

観点ポイント
背景令和7年の新設住宅着工は74万戸(前年比6.5%減)、持家は4年連続減少
本命施工力を転用できる非住宅木造
足元DX・AI活用で時間と利益率を確保
拡大不動産・賃貸管理は免許・登録と体制が前提

多角化は「すぐにできること」と「数年かけて育てること」を分けて設計するのが成功の鍵です。非住宅参入を含む事業の組み立てについては、お気軽にご相談ください。

出典・参考

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