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工務店が生き残るための戦略は、大きく「リフォーム・リノベーションの強化」「非住宅木造への参入」「DXによる業務効率化と集客」の3つです。 2025年の新設住宅着工戸数は740,667戸(前年比6.5%減)で3年連続の減少となり、2023年の空き家は900万2千戸(空き家率13.8%)と過去最多です。新築住宅だけに頼る経営は、市場の縮小の影響を直接受けます。
3つの戦略は排他的ではなく、自社の強み・人員・資金に合わせて組み合わせるのが現実的です。本記事では、市場データを確認したうえで3つの戦略を比べます。新規事業としての非住宅の判断材料は 非住宅木造が最適解である5つの理由、多角化メニューの比較は 工務店の多角化経営メニュー7選 に分けています。
この記事の数値について: 住宅着工は国土交通省「建築着工統計調査」、空き家は総務省「住宅・土地統計調査」、木造率は林野庁「森林・林業白書」、非住宅木造の市場規模は矢野経済研究所(民間の推計)によります。投資額・売上の金額は会社・地域で大きく変わるため、本記事では載せていません。
【早見表】工務店を取り巻く市場データ
| 指標 | 数値 | 出典 |
|---|---|---|
| 新設住宅着工戸数(2025年) | 740,667戸(前年比6.5%減、3年連続の減少) | 国土交通省 建築着工統計調査(令和7年計) |
| 空き家数・空き家率(2023年10月1日) | 900万2千戸・13.8%(いずれも過去最多・最高) | 総務省 令和5年住宅・土地統計調査 |
| 低層住宅以外の木造率(2024年、床面積ベース) | 6.2% | 林野庁 令和6年度 森林・林業白書 |
| 非住宅木造の市場規模 | 2023年度実績8,788億円/2024年度見込8,800億円/2030年度予測1兆1,400億円 | 矢野経済研究所(民間の推計) |
新築住宅の市場は減少が続く一方、空き家の増加は既存住宅の改修需要につながり、非住宅や中高層の建物は木造化の余地が大きい分野です。
戦略1: リフォーム・リノベーションの強化
既存住宅のストックは大きく、断熱改修・耐震補強・バリアフリー化などの需要が続きます。新築で培った施工力をそのまま生かせるのが強みです。
| 項目 | 取り組みのポイント |
|---|---|
| ターゲット | 築年数の古い住宅のオーナーに絞ったアプローチ |
| 単価を上げる | 部分的な修繕から、断熱・耐震の性能向上リノベーションへ |
| 差別化 | 新築の技術力を生かした提案・品質 |
| 注意点 | 参入する事業者が多く、価格競争になりやすい |
補助制度(断熱改修・耐震改修など)は年度ごとに変わるため、国・自治体の最新の公募情報を確認して提案に組み込みます。
戦略2: 非住宅木造への参入
非住宅木造は、木材利用促進法の対象が2021年10月に建築物一般へ広がったことなどを背景に、市場の拡大が予測されている分野です(矢野経済研究所の推計で2030年度に約1兆1,400億円)。
住宅の技術を生かせる
2×4工法や在来軸組工法の技術、木材の調達ルート、職人のネットワークを生かせます。ただし非住宅は、構造計算(木造は階数3以上または延べ300㎡超で必要)、用途ごとの防火規制、消防設備など、住宅とは確認する法規が違うため、構造設計者・設計事務所との連携が前提になります(非住宅木造の失敗パターン5選)。
1件あたりの工事金額が大きい
非住宅は延べ面積が大きくなりやすく、1件あたりの工事金額が大きくなります。例えば延べ100坪の事務所なら、当サイトの坪単価一覧の目安(木造65〜90万円/坪)で建物本体だけで6,500万〜9,000万円です(建築の坪単価一覧)。その分、1件の赤字の影響も大きくなるため、最初は自社で管理できる規模から始めます。
参入のステップ
- 情報収集: 非住宅木造のセミナー・見学会、法規の基礎(木造の耐火・準耐火の基準)
- パートナー構築: 非住宅の経験がある設計事務所・構造設計者との連携(設計事務所の費用と連携)
- 初案件の受注: 小規模な倉庫・事務所、既存顧客の事業用建物から
- 事業として確立: 実績を公開し、紹介・法人営業の仕組みをつくる
戦略3: DX・集客のデジタル化
紙の図面・電話・口コミ頼みの集客から、Webでの情報発信と業務のデジタル化に切り替える戦略です。施工事例・価格の考え方・対応エリアをWebで発信すると、検討段階の顧客に見つけてもらいやすくなります。
| 施策 | 期待できる効果 |
|---|---|
| 自社Webサイトの施工事例・コラムの充実 | 検索経由の問い合わせ |
| 施工管理アプリ・クラウドでの情報共有 | 現場管理の効率化、連絡ミスの削減 |
| 3D CAD・BIM(建物の3次元モデルに情報を持たせる設計手法) | 提案力の向上、設計の手戻りの削減 |
| SNSでの発信 | 認知の拡大 |
費用は施策・外注の有無で大きく変わるため、複数社の見積で比べてください。具体的な活用法は 建築会社・工務店のDX & AI活用ガイド を参照してください。
3つの戦略の比較
| 比較項目 | リフォーム | 非住宅木造 | DX |
|---|---|---|---|
| 市場の状況 | 既存住宅のストックが大きい | 拡大が予測されている(民間推計) | 市場ではなく手段 |
| 競合 | 多い | 住宅より少ない傾向 | ― |
| 1件あたりの金額 | 小〜中 | 大きい | ― |
| 新たに必要なこと | 改修の診断・提案力 | 構造計算・防火などの法規対応、外部パートナー | 新しいツール・スキル |
| 既存技術の活用 | 高い | 高い(木造の施工力) | ― |
3つは組み合わせが前提です。リフォームで安定収益を確保しつつ、非住宅木造で成長を図り、DXで業務効率と集客力を高める、という三本柱が一つの形です。限られた人員の中で優先順位をつけるなら、自社の顧客層・人員・資金と照らして選びます。
【チェックリスト】自社に合う戦略を選ぶ
- 自社の売上のうち、新築住宅の割合と、その推移を把握したか
- 既存顧客(住宅の施主)に、事業用建物や改修の需要がないか確認したか
- 非住宅に必要な構造計算・防火・消防の対応を、外部パートナーと組めるか
- 1件の工事金額が大きくなったときの資金繰り(前払い・出来高払い)を確認したか
- 施工事例・価格の考え方をWebで発信できているか
- 後継者・人員の計画と、新しい事業に割ける人を決めたか
まとめ
- 2025年の新設住宅着工は740,667戸で3年連続の減少、空き家は900万2千戸と過去最多
- 生き残りの戦略はリフォーム強化・非住宅木造への参入・DXの3つ
- 非住宅木造は拡大が予測される一方、構造計算・防火などの法規対応と外部パートナーが前提
- 3つの戦略は組み合わせて、自社の強みと人員に合わせて優先順位をつける
非住宅木造への参入をご検討中の工務店経営者様は、まずは情報収集からお気軽にご相談ください。
出典・参考
- 国土交通省「建築着工統計調査報告(令和7年計)」: https://www.mlit.go.jp/report/press/content/kencha25.pdf
- 総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果」: https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2023/pdf/kihon_gaiyou.pdf
- 林野庁「令和6年度 森林・林業白書」第1部 第3章 第2節 木材利用の動向: https://www.rinya.maff.go.jp/j/kikaku/hakusyo/r6hakusyo_h/all/chap3_2_2.html
- 株式会社矢野経済研究所「非住宅木造市場に関する調査を実施(2024年)」(民間の調査): https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3656
- 建築基準法(e-Gov法令検索)第20条: https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000201
- 坪単価の目安: 当サイト「建築の坪単価一覧」(一般的な目安。公的統計ではありません)

