非住宅木造Navi
ホームコラム工務店の新規事業、非住宅木造が最適解である5つの理由
経営戦略11分で読めます2026-04-15

工務店の新規事業、非住宅木造が最適解である5つの理由

工務店の新規事業、非住宅木造が最適解である5つの理由

※ 画像はイメージです

はじめに — 住宅だけでは成長できない時代に

日本の新設住宅着工戸数は、2023年度に約82万戸、2025年度には約74万戸と減少が続いています。国立社会保障・人口問題研究所の推計では、2040年には49万戸にまで落ち込む見通しです。

多くの工務店経営者の方が「このまま住宅だけで会社を維持できるのか」という不安を抱えていることでしょう。実際に、住宅専業の工務店の廃業率は年々上昇しており、帝国データバンクの調査では2024年の建設業の倒産件数は前年比15%増となっています。

こうした環境下で、新規事業として「非住宅木造建築」への参入が注目を集めています。本記事では、非住宅木造が工務店にとって最適な新規事業である5つの理由を解説します。

理由1: 市場が拡大中 — 8,800億円から1兆1,400億円へ

非住宅木造建築の市場規模は、2020年の約8,800億円から2025年には約1兆1,400億円へと、5年間で約30%拡大しています。この成長を支えているのが、2010年施行の「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」(通称:木材利用促進法)と、2021年の改正による対象の拡大です。

国は2025年までに非住宅建築物の木造率を引き上げる数値目標を掲げており、予算面でも補助金や税制優遇が拡充されています。住宅市場が縮小する中で、非住宅木造は数少ない「成長市場」なのです。

具体的な成長分野

  • 高齢者福祉施設: 2025年から2040年にかけて約32万床の追加が必要と推計
  • 保育施設: 木造の保育施設は子どもの情緒安定に効果があるとして推奨
  • 物流倉庫: ECの拡大により中小規模の倉庫需要が増加
  • 事務所: 脱炭素経営の一環として木造オフィスが注目

理由2: 既存の技術・人材を活かせる

非住宅木造の最大の強みは、住宅建築で培った技術と人材をそのまま活用できることです。新たに鉄骨の溶接技術者を雇用する必要はありませんし、コンクリートの型枠工事を覚える必要もありません。

特にツーバイフォー工法を手掛けている工務店であれば、パネル工法の応用で非住宅にも対応できます。在来軸組工法の工務店も、プレカット技術の活用で中大規模建築に進出可能です。

もちろん、非住宅特有の法規制(防火区画、排煙設備、バリアフリーなど)の知識は必要ですが、構造や施工の基本技術は住宅と共通しています。追加で必要な知識は、研修やセミナーで3〜6ヶ月程度で習得できるレベルです。

理由3: 競合が少ない — 非住宅木造率はまだ約6%

国土交通省の建築着工統計によると、非住宅建築物に占める木造の割合は約6%にとどまっています。裏を返せば、市場の94%がまだ開拓の余地があるということです。

非住宅建築は長年にわたり鉄骨やRC造が主流であったため、木造で対応できるゼネコンや工務店はまだ少数派です。これは、参入する工務店にとって競合が少ないことを意味します。

住宅市場では、大手ハウスメーカー、パワービルダー、地域工務店が激しい価格競争を繰り広げています。しかし非住宅木造の分野では、まだ「先行者利益」を獲得できるタイミングです。

理由4: 初期投資が小さい

非住宅木造への参入に、大規模な設備投資は基本的に不要です。以下のコスト比較をご覧ください。

新規事業の選択肢初期投資の目安回収期間の目安
非住宅木造への参入100〜300万円1〜2案件
リフォーム事業の立ち上げ200〜500万円6ヶ月〜1年
不動産事業への参入1,000万円〜2〜3年
太陽光発電事業2,000万円〜5〜10年

非住宅木造への参入に必要な初期投資は、主に以下の3点です。

  1. 構造計算ソフトの導入: 50〜100万円程度
  2. 社員の研修・資格取得費用: 30〜80万円程度
  3. 営業ツール・パンフレット制作: 20〜50万円程度

既存の工場や設備、車両はそのまま使えるため、他の新規事業と比較して圧倒的に少ない投資で始められます。

理由5: 1棟あたりの売上が大きい

住宅と非住宅では、1棟あたりの売上規模が大きく異なります。

建物種別1棟あたりの売上目安粗利率の目安
注文住宅(30坪)2,000〜3,000万円20〜25%
非住宅・事務所(100坪)6,000〜8,000万円15〜20%
非住宅・倉庫(200坪)8,000万〜1億2,000万円15〜20%
非住宅・介護施設(150坪)1億〜1億5,000万円15〜20%

粗利率は住宅よりやや低い傾向がありますが、1棟あたりの粗利額は住宅の2〜3倍になります。年間に住宅を10棟受注している工務店が、非住宅を3棟受注するだけで同等以上の粗利を確保できる可能性があるのです。

また、非住宅の施主は法人が中心です。法人との取引は、一度信頼関係を構築すると継続受注につながりやすいというメリットもあります。

どんな用途から始めるべきか?

初めて非住宅木造に参入する場合、いきなり大規模な建物に取り組むのはリスクがあります。以下の用途が、参入しやすいとされています。

おすすめの参入ステップ

  1. 小規模倉庫・車庫(50〜100坪): 構造がシンプルで、法規制もゆるやか。最初の実績づくりに最適
  2. 事務所(80〜150坪): 住宅の延長で対応しやすく、地元企業からの受注が見込める
  3. 福祉施設(100〜200坪): 補助金が充実しており、地域のニーズも高い

まずは50〜100坪程度の小規模な非住宅から始め、施工実績と設計ノウハウを蓄積していくのが堅実なアプローチです。

まとめ

工務店の新規事業として非住宅木造が最適である理由を5つにまとめると、市場の拡大既存技術の活用競合の少なさ初期投資の小ささ1棟あたりの高い売上です。

住宅市場が構造的に縮小していく中で、手をこまねいていれば経営はじわじわと追い込まれます。一方で、非住宅木造という成長市場にいち早く参入した工務店は、新たな収益の柱を確立し、持続的な経営を実現しています。

「まだうちには早い」と感じる方もいるかもしれません。しかし、非住宅木造率がわずか6%の今こそが、最大のチャンスです。まずは情報収集と社内の体制づくりから始めてみてはいかがでしょうか。

ご相談イラスト

お困りのことはありませんか?

非住宅木造の設計・施工・参入についてお気軽にご相談ください。専門スタッフが過去事例をもとにアドバイスさせていただきます。

お問い合わせ