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メンブレン型耐火構造とは|2×4の被覆で耐火・準耐火をつくる仕組み

メンブレン型耐火構造とは|2×4の被覆で耐火・準耐火をつくる仕組み

※ 画像はイメージです

メンブレン型(メンブレン工法)とは、木材でできた柱・梁・壁・床などの構造部材を、強化せっこうボードなどの燃えにくい面材で覆い(被覆し)、火災の熱が構造材に届くのを遅らせて耐火・準耐火の性能を得る方式です。「メンブレン(membrane)」は膜のことで、構造材を防火の膜で包むイメージから、この名で呼ばれます。

2×4(ツーバイフォー)工法は壁・床・屋根を面で構成するため、この「面で覆う」方式と相性がよく、一般社団法人日本ツーバイフォー建築協会は平成16年4月20日付で、枠組壁工法(2×4工法)の主要構造部すべての部位について耐火構造の国土交通大臣認定を受けています。この記事では、メンブレン型の考え方と、耐火構造・準耐火構造の違い、法令が求める時間と被覆の例を整理します。

メンブレン型と、ほかの木質耐火の方式

国土交通省の資料では、木材を使った耐火構造の大臣認定の方式として、次の3つが整理されています。

方式考え方木の見え方
メンブレン型構造材を強化せっこうボード等の防火被覆で覆い、構造材が燃えないようにする木材は被覆の内側に隠れる
燃え止まり型荷重を支える木材の外側に燃え止まり層(難燃処理した木材やモルタル等)を設け、火災後に燃焼が止まるようにする表面に木を見せられる
木質ハイブリッド型鉄骨などを木材で覆い、木材を耐火被覆として働かせる表面に木を見せられる

なお、準耐火構造では、柱・梁の断面を大きくして表面が燃えても残りの断面で支える「燃えしろ設計」も使われます(平12建告第1358号の柱・はりの規定が、令第46条第2項や昭62建告第1901号・第1902号を引用して定めています)。

2×4工法で一般的に使われるのはメンブレン型です。面材を張る作業の延長で被覆できるため、壁・床・天井を連続して覆いやすいのが理由です。

耐火構造と準耐火構造の違い

耐火構造と準耐火構造は、火災に耐えなければならない時間と、その間に求められる性能が違います。建築基準法施行令が技術的基準を定めています。

項目耐火構造(令第107条)準耐火構造(令第107条の2)
目的通常の火災が終了するまで倒壊・延焼を防ぐ通常の火災による延焼を抑える
柱・はり・床・耐力壁が壊れない時間(非損傷性)最上階から数えて4以内の階は1時間、5〜9の階は1.5時間、10〜14の階は2時間。15以上の階は、壁・床は2時間、柱・はりは15〜19の階2.5時間・20以上の階3時間45分間
壁・床の裏面温度が上がらない時間(遮熱性)1時間(非耐力の外壁で延焼のおそれのある部分以外は30分)45分間(非耐力の外壁・軒裏で延焼のおそれのある部分以外は30分)
屋根・階段30分間30分間(屋根は軒裏を除く)

準耐火構造には、上の基準(いわゆる45分準耐火)のほかに、令第112条第2項の「1時間準耐火基準」に適合するものもあります。

どちらが必要になるかは、建物の用途・規模・階数と、防火地域・準防火地域の指定で決まります(建築基準法第21条・第27条・第61条など)。判定の早見表は 非住宅木造の耐火基準を完全ガイド にまとめています。

準耐火構造(45分)の被覆の例:平12建告第1358号

告示(平成12年建設省告示第1358号「準耐火構造の構造方法を定める件」)には、大臣認定を取らずに使える構造方法(例示仕様)が定められています。木材で造る場合の主なものは次のとおりです(令和元年11月改正時点の告示本文による)。

部位防火被覆の例(告示の選択肢の一部)
耐力壁である間仕切壁(間柱・下地が木材)両側に、①厚さ15mm以上のせっこうボード(強化せっこうボードを含む)、②厚さ12mm以上のせっこうボードの上に厚さ9mm以上のせっこうボードまたは難燃合板、③厚さ9mm以上のせっこうボードまたは難燃合板の上に厚さ12mm以上のせっこうボード、など
床(根太・下地が木材)表側:厚さ12mm以上の構造用合板等の上に厚さ9mm以上のせっこうボード等を張ったもの、厚さ30mm以上の木材、畳(ポリスチレンフォームの畳床を除く)など/裏側または直下の天井:厚さ15mm以上の強化せっこうボード、または厚さ12mm以上の強化せっこうボード(裏側に厚さ50mm以上のロックウールまたはグラスウールを設けたもの)など
屋根(軒裏を除く)不燃材料で造るかふいたもので、屋内側または直下の天井に厚さ12mm以上の強化せっこうボード、厚さ9mm以上のせっこうボード2枚以上、などを設けたもの

防火被覆の継ぎ目(取合い等の部分)は、裏面に当て木を設けるなど、内部への炎の侵入を防ぐ構造とすることも告示で求められています。

耐火構造(1時間)の被覆の例:平12建告第1399号

耐火構造の告示(平成12年建設省告示第1399号「耐火構造の構造方法を定める件」)にも、木材を使った1時間耐火の例示仕様があります(平成30年3月改正時点の告示本文による)。

部位防火被覆の例(告示の選択肢の一部)
耐力壁である間仕切壁(間柱・下地が木材または鉄材)両側に、強化せっこうボード(せっこう含有率95%以上、ガラス繊維含有率0.4%以上、ひる石含有率2.5%以上のもの)を2枚以上張り、厚さの合計42mm以上 など
床(根太・下地が木材または鉄材)表側に同じ強化せっこうボードを2枚以上で合計42mm以上、裏側または直下の天井に同じ強化せっこうボードを2枚以上で合計46mm以上

1時間耐火で使う強化せっこうボードは、成分の条件まで指定された製品である点に注意してください。一般の強化せっこうボードを同じ厚さで重ねただけでは、この告示の仕様に当たりません。

実際の設計では、ここに挙げた例示仕様をそのまま使うか、大臣認定を受けた仕様を使います。告示は改正されることがあるため、最新の告示本文と、採用する大臣認定の仕様書で必ず確認してください。

せっこうボードが火に強い理由

せっこうボード工業会によると、せっこうには約20%の結晶水が安定した形で含まれており、火災で高温にさらされると、この結晶水が水蒸気となって少しずつ放出され、温度の上昇を遅らせます。せっこうそのものも熱を伝えにくい壁として働きます。メンブレン型は、この性質を使って構造材の温度上昇を遅らせる方式です。

2×4工法がメンブレン型に向いている理由

面構造で被覆しやすい

2×4工法は壁・床・屋根をパネル(面)で構成するため、せっこうボードを平面的に張ることで構造部材を連続して覆えます。柱や梁が複雑に交差する部分が少なく、被覆の継ぎ目の処理を計画しやすい構造です。

ファイヤーストップ材

2×4工法では、壁の中の空洞が上下階や天井裏へつながらないよう、床や天井の位置で枠材などが空洞を区切ります。この部分はファイヤーストップ材とも呼ばれ、壁の中を火が伝わるのを抑える働きをします。

【早見表】認定番号の読み方

大臣認定を受けた構造方法には、国土交通省の「構造方法等の認定に係る帳簿」で次のような記号の認定番号が付けられています。

記号意味
FP耐火構造
QF準耐火構造(例:QF045BE-…)
3桁の数字時間(分)。例:060=60分、045=45分
BE耐力壁の外壁
BP耐力壁の間仕切壁
NE非耐力壁の外壁
NP非耐力壁の間仕切壁
CN柱
FL床
BMはり
RF屋根
ST階段

例えば「FP060BE-…」は「60分の耐火構造の、耐力壁である外壁」の認定です。準耐火構造は「QF」で始まります(メーカーが公表している認定書の番号で確認できます)。

認定仕様書の入手と施工の注意

2×4工法の耐火構造の大臣認定は日本ツーバイフォー建築協会が取得しており、認定仕様書や設計・施工の手引は同協会から入手できます。

施工では、認定仕様書・告示に書かれた材料(せっこうボードの種類・厚さ、留め付けるビスの種類・間隔など)と施工方法を守ることが前提です。仕様と異なる材料や施工方法を用いると、その部分は耐火・準耐火構造として扱えなくなります。

着工前のチェックリスト

  • 建物に求められるのは耐火構造か、準耐火構造(45分/1時間)か。根拠条文を設計者と共有したか
  • 使う仕様は告示の例示仕様か、大臣認定か。認定番号と仕様書は最新版か
  • 1時間耐火の場合、強化せっこうボードの製品が告示・認定の条件を満たしているか
  • 被覆の継ぎ目(取合い等の部分)の当て木などの処理が図面に入っているか
  • 設備配管・コンセントボックスなどが被覆を貫通する部分の処理を決めたか
  • 施工時に、ボードの種類・厚さ・枚数・ビス間隔を写真で記録する段取りがあるか

コスト面|耐火仕様のコストアップの考え方

メンブレン型は、被覆するせっこうボードの枚数・厚さが増えるほど、材料費と手間が増えます。一般的な目安として、次のような幅で語られることが多いですが、実際の金額は仕様・規模・開口部の数で大きく変わるため、見積りで確認してください。

仕様コストアップの一般的な目安(坪あたり)主な増加要因
45分準耐火3〜5万円/坪せっこうボードの増し張り、防火設備
1時間耐火5〜8万円/坪告示・認定仕様の強化せっこうボードの重ね張り、防火設備
防火設備(開口部)1〜3万円/坪防火サッシ、防火ドア

木造・RC造・S造の用途別の坪単価差は 木造・RC造・S造の坪単価比較 で比較しています。実際に準耐火仕様で建てた事例は、デイサービス+住宅型有料老人ホームの事例や製材工場・ストック倉庫群の事例を参照してください。

コストを抑えるポイント

  • 設計段階での最適化:防火区画や延焼のおそれのある部分の配置を工夫し、防火設備(防火サッシ・防火ドア)の数を減らす
  • 仕様の早期確定:告示の例示仕様か大臣認定かを早く決め、材料の手配と施工手順を固める

まとめ

  • メンブレン型=木の構造材を強化せっこうボード等の防火被覆で覆い、耐火・準耐火の性能を得る方式
  • 準耐火構造は主要構造部が45分(屋根・階段は30分)、耐火構造は最上階から4以内の階で1時間などの性能が必要(令第107条の2・第107条)
  • 被覆の厚さは告示(平12建告第1358号・第1399号)の例示仕様か、大臣認定の仕様書で決まる。本記事の例は告示の一部。採用時は最新の告示・認定で確認する
  • 認定番号は FP(耐火)/QF(準耐火)+時間+部位記号で読める

出典・参考

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