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混構造のデメリットとメリット|木造を併用する非住宅の注意点

混構造のデメリットとメリット|木造を併用する非住宅の注意点

※ 画像はイメージです

混構造(木造と鉄筋コンクリート造・鉄骨造などを組み合わせた構造)の主なデメリットは、構造計算と確認の手続き、異なる構造の境界の設計・施工、工程の分断が、純木造より重くなることです。 木造の「階数2以下かつ延べ300㎡以下なら構造計算が不要」という扱いは木造の建築物に限った規定で、混構造では構造計算で安全を確かめるのが基本になります。一方で、1階に大空間や耐火・耐久性の要る部分をRC造・鉄骨造で、上階を軽い木造でつくるなど、構造ごとの長所を使い分けられるのがメリットです。

国の「建築物における木材の利用の促進に関する基本方針」(2021年10月)も、公共建築物で木造と非木造の混構造が、耐火性能や構造強度の確保、設計の自由度の点で合理的な場合があるとして、その採用を検討するよう求めています。本記事では、非住宅で混構造を選ぶときのデメリットと対策、メリットとの比べ方を整理します。構造選択の全体像は 木造と鉄骨造の違い・木造・鉄骨造・RC造の坪単価比較 も参照してください。

混構造の典型パターン

パターン構成例向く用途
下階RC造+上階木造(立面混構造)1階RC造(店舗・駐車場)+上階木造(住居・事務所・施設)店舗併用・賃貸併用・複合施設
下階鉄骨造+上階木造1階鉄骨造(大開口の売場)+上階木造(事務所)ロードサイドの複合店舗
平面的な混構造大空間の棟をRC造・鉄骨造、居室の棟を木造体育館+管理棟、工場+事務所など
部材単位の木造化RC造・鉄骨造の躯体に木の梁・屋根架構や内装公共施設・大空間施設

【比較表】混構造のデメリットとメリット

観点デメリットメリット
構造計算・確認純木造なら仕様規定で済む規模でも、構造計算が必要になるのが基本。規模によっては構造計算適合性判定(第三者機関による構造審査)も要る計算で全体の安全を確かめるため、上階を軽い木造にして下階・基礎の負担を減らす設計ができる
設計硬いRC造・鉄骨造と、変形しやすい木造の境界で、力の伝わり方を詳しく検討する必要がある大空間・耐火・耐水が要る部分だけを非木造にでき、木造化できる範囲を広げられる
施工・工程型枠・コンクリートの養生・鉄骨建方と、木造の建方で職種と段取りが変わり、工程が分断される上階の木造部分は、プレカット・パネル化で現場作業を減らせる
防火木材を主要構造部に使う以上、規模・用途・地域に応じた木造の防火規定がかかる防火上の要求が厳しい部分を非木造にし、区画で整理できる
税務・資産耐用年数の判定が建物ごとに異なり、判断が要る構造ごとに区分でき、別の建物とみられる場合は構造ごとの耐用年数を使える
発注先RC造・鉄骨造と木造の両方を扱える設計者・施工者が要る地域の木造の施工者と、躯体の専門工事会社が協業できる

デメリット1|構造計算と確認の手続きが重くなる

建築基準法20条1項3号は、2025年4月の改正後、構造計算(許容応力度計算など)が必要な建築物を、木造については「地階を除く階数3以上または延べ300㎡超」に限っています。この緩和は「木造の建築物」についての規定です。木造と他の構造を併用した混構造は、確認申請の対象となる規模(階数2以上または延べ200㎡超など、法6条1項1号・2号)であれば、構造計算で安全を確かめるのが基本と考えてください。

さらに建築基準法施行令36条の2は、木造・組積造・補強コンクリートブロック造・鉄骨造のうち2以上を併用する建築物、またはこれらと鉄筋コンクリート造などを併用する建築物で、地階を除く階数が4以上、または高さ13m・軒の高さ9mを超えるものを、より高度な構造計算が必要な建築物(法20条1項2号)としています。これに当たると、構造計算適合性判定も必要です。このほか、地震時の各階の変形を把握する必要がある建築物として、国土交通大臣が平成19年国土交通省告示第593号で指定しているものがあります。

どの計算ルートになるかは、構造の組み合わせ・規模・剛性のバランスで変わります。企画段階で構造設計者に計算ルートと確認の手続き(構造計算適合性判定の要否)を確認し、工程に入れてください。 構造計算の基本は 木造の構造計算が必要な規模は? で解説しています。

デメリット2|境界(接合部)の設計と施工

混構造の手間とコストが集中するのは、RC造・鉄骨造と木造の境界です。

  • 力の伝達:硬いRC造・鉄骨造と、変形しやすい木造では、地震時の揺れ方が違います。境界のアンカー・金物・梁で力を確実に伝える設計を、構造計算で1つずつ確かめます
  • 精度の違い:コンクリートの躯体と、プレカットの木材では、施工の精度の考え方が違います。アンカーボルトの位置などを、躯体を打つ前に木造側の図面と合わせます
  • 防水・防腐:境界は水が溜まりやすく、木材が腐りやすい部分になります。木造部分には施行令40条以下の木造の規定がかかり、土台・柱の足元の防腐措置(令49条)も必要です

境界を水平に1か所(「2階の床で切り替える」など)にまとめると、検討・施工の段取りが少なくなり、混構造の利点が出やすくなります。「1階の一部だけRC造」「途中の階で部分的に鉄骨造」のように境界を散らすと、そのたびに検討と手間が増えます。

デメリット3|防火規定は木造部分にかかり続ける

建築基準法21条(大規模の建築物の主要構造部)は、主要構造部の一部にでも木材などの可燃材料を使った建築物で、地階を除く階数4以上、高さ16m超などに当たるものに、火災時に倒壊・延焼しない性能を求めています。延べ3,000㎡を超えるものにも別の規定があります。法22条区域や防火地域・準防火地域の外壁・屋根の規定(23条・25条・61条・62条)も、「木造建築物等」に当たれば同様にかかります。

下階をRC造にしても、木造部分が残る以上、木造としての防火規定の検討は必要です。用途・規模別の耐火要件は 木造の耐火・準耐火の基準 で確認してください。

デメリット4|耐用年数の判定に判断が要る

国税庁の耐用年数の取扱通達は、建物の構造は主要柱・耐力壁・梁などの主要部分で判定するとしています(1-2-1)。また、構造別に区分でき、それぞれが社会通念上別の建物とみられるもの(例:鉄筋コンクリート造3階建ての上に木造を建てて4階建てにしたもの)は、構造ごとに区分して耐用年数を適用するとしています(1-2-2)。どちらに当たるかで減価償却が変わるため、計画段階で税理士に確認してください。耐用年数の全体は 建物の減価償却|構造・用途別の耐用年数 を参照してください。

メリットを活かす使い分け|コストの考え方

混構造の建設費は、純木造と純RC造・鉄骨造の中間に収まると考えられがちですが、境界の納まり次第で上にも下にも振れます。

構成向く場面コストの考え方
純RC造・純鉄骨造全階で大空間・耐火・耐久が要る木造化による軽量化・工程短縮の余地がない
混構造(下階非木造+上階木造)1階に大空間・駐車場・水回り、上階は居室・事務所木造化できる範囲が広いほど建物が軽くなる。境界が複雑だと手間で上振れ
純木造全階を木造で成立させられる構造の切り替えがなく、段取りが最も単純

ポイントは、木造化できる階・部分をできるだけ広げ、RC造・鉄骨造は本当に必要な範囲に絞ること、そして境界を1か所にまとめることです。用途別の坪単価の目安は 建築の坪単価一覧、自社案件の概算は 非住宅木造の建設費 概算の出し方 で確認できます。

【判定フロー】混構造にするか決める5つの問い

#問いYesならNoなら
1全階を木造で、必要な空間・耐火性能を満たせるか純木造を優先して検討2へ
2非木造が必要なのは特定の階・棟だけか3へ純RC造・鉄骨造を検討
3構造の切り替えを1か所(1つの床、または棟の境)にまとめられるか4へ計画を見直すか、純RC造・鉄骨造と比べる
4構造計算のルート・構造計算適合性判定の要否と、その期間を工程に入れられるか5へ開業時期を見直す
5両方の構造を扱える設計者・施工者を確保できるか混構造で進める協力会社・設計事務所を先に探す

混構造に関するよくある質問(FAQ)

Q. 1階RC造+上階木造は、純木造より地震に弱くなりませんか。 A. 弱くなるとは限りません。混構造は構造計算で境界の力の伝わり方や各階の変形を確かめたうえで成立させます。下階を硬いRC造にし、上階を軽い木造にすることで、建物全体の重さを抑えられます。

Q. 2階建ての小さな混構造でも構造計算は必要ですか。 A. 必要になるのが基本です。2025年4月以降、構造計算が不要な規模の緩和(階数2以下かつ延べ300㎡以下)は木造の建築物についての規定です。計算ルートと手続きは、構造設計者と確認検査機関に確認してください。

Q. どんな用途で混構造が向いていますか。 A. 下階に大空間・駐車場・耐火や耐水の要る部分があり、上階は居室・事務所が中心の建物です。1階店舗+上階住居・事務所、1階駐車場+上階共同住宅などが典型です。全階で大空間・耐火が要るなら純RC造・鉄骨造、全階を木造で成立できるなら純木造が素直です。

Q. 確認申請は純木造より時間がかかりますか。 A. 構造計算の検討が増え、規模によっては構造計算適合性判定も必要になるため、純木造の小規模建築物より期間を長く見込む必要があります。設計事務所・構造設計者との連携の進め方は 設計事務所の費用と連携 を参照してください。

Q. 既存のRC造・鉄骨造の建物に木造で増築できますか。 A. できる場合があります。既存部分との接合(または構造上分離する方法)、既存不適格の扱い、防火区画を確認する必要があるため、現況調査のうえで計画します。詳しくは 既存不適格の建物は増築・建て替えできる? を参照してください。

まとめ

  • 混構造のデメリットは、構造計算・確認の手続き、境界の設計と施工、工程の分断が純木造より重くなること
  • 木造の構造計算の緩和(階数2以下かつ300㎡以下)は木造の建築物の規定。混構造は構造計算が基本で、階数4以上・高さ13m超などは高度な計算と適合性判定が必要(令36条の2)
  • 木造部分が残る限り、木造の防火規定の検討は必要
  • メリットを活かすには、木造化の範囲を最大に、構造の境界を1か所にまとめる

※ 本記事は一般的な説明です。個別の計画は、最新の法令・告示と所管行政庁・確認検査機関、構造設計者にご確認ください。

出典・参考

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