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技術解説12分で読めます2026-06-13

木造とS造(鉄骨造)どっちが安い?費用・工期・性能を比較

木造とS造(鉄骨造)どっちが安い?費用・工期・性能を比較

※ 画像はイメージです

木造とS造(鉄骨造)、どちらが安いのか

結論から言うと、坪単価ベースでは木造の方が安いのが一般的です。用途によって水準が違うため、代表的な3用途で比べます(本体工事費ベース、内装・設備・外構・設計監理費は別途)。

用途木造(2×4)S造(鉄骨造)木造の優位幅
倉庫40〜65万円/坪55〜80万円/坪約20〜25%
事務所65〜90万円/坪80〜110万円/坪約15〜20%
福祉施設(介護等)75〜100万円/坪90〜120万円/坪約15〜18%

※数値は2026年時点の市場水準。地域・仕様・規模により変動します。10用途すべてのレンジは 非住宅建築の坪単価一覧 にまとめています。

200坪の事務所で換算すると、木造1億3,000万〜1億8,000万円に対しS造は1億6,000万〜2億2,000万円。差額はおよそ3,000万〜4,000万円です。

木造はS造と比べて15〜25%のコスト削減が見込めます。ただし、どちらが「正解」かは用途・規模・敷地条件によって異なります。以下で各観点を比較します。

この記事は木造とS造(鉄骨造)の二択に絞った判断に特化しています。RC造を含めた3構造の費用総覧木造・RC造・S造の坪単価比較 をご覧ください。


費用(建設コスト)の比較

構造体コストの差

コスト要素木造S造
柱・梁の材料費集成材・製材(相場安定)形鋼・H形鋼(鉄骨市況に左右)
接合部コストドリフトピン・金物(比較的安価)溶接・高力ボルト(施工費高め)
基礎コスト建物自重が軽く基礎を簡略化できる重量が重く基礎が大型化しやすい

2025年の鉄骨市況

2025年度の鉄骨(H形鋼)の市場価格は、コロナ前と比較して約25〜30%高い水準で推移しています。鋼材価格は国際市況に連動して変動するため、S造の建設費は木造より変動リスクが大きい点に注意が必要です。


工期の比較

規模木造の工期目安S造の工期目安
100坪3〜4ヶ月4〜6ヶ月
300坪4〜5ヶ月5〜7ヶ月
500坪以上5〜7ヶ月6〜9ヶ月

工期短縮の経済効果

工期が1ヶ月短縮されると、以下のコストが削減されます。

コスト項目削減効果の目安(100坪クラス)
現場管理費・仮設費150〜300万円
借入利息(建設中の資金コスト)50〜100万円
既存建物の賃料(移転を伴う場合)規模による

工期2ヶ月短縮で、200〜500万円規模の経済効果が生まれる計算です。


断熱性の比較

木材の熱伝導率は鉄の約480分の1です。この差が建物の断熱性能と空調コストに影響します。

比較項目木造S造
熱伝導率(参考値)0.12W/m·K(木材)53W/m·K(鉄鋼)
ヒートブリッジ(熱橋)少ない鉄骨が熱橋になりやすい
追加断熱の必要性低い(構造材自体が断熱材を兼ねる)高い(断熱材の厚みが必要)
年間空調コスト(目安)S造比で10〜20%削減できる場合あり基準値

省エネ基準(建築物省エネ法)への対応においても、木造は構造体自体の断熱性が高い分、追加断熱材が少なく済むケースがあります。


遮音性の比較

比較項目木造S造
重量床衝撃音(ドンドン系)対策が必要(軽量)対策が必要(重量床衝撃音に弱い)
軽量床衝撃音(コツコツ系)対策が必要対策が必要
壁の遮音性仕様による仕様による

遮音性は構造材の種類よりも床・壁の仕様(遮音材・重量)に依存するため、木造・S造の差はそれほど大きくありません。倉庫・事務所用途では遮音性をあまり気にしなくてよいケースが多いです。


設計の自由度の比較

S造が木造より有利な点として「大スパン対応」があります。

比較項目木造S造
最大スパン(無柱空間)10〜15m程度(集成材ラーメン等)20〜30m以上も可能
高さ制限3階建て(一般的な軸組工法)高層建築に対応
大スパン空間の必要性倉庫・工場では柱割付けの制約が出る場合あり駐車場・工場・倉庫に適する

「柱が邪魔になる」ような大型の工場・倉庫・大空間施設ではS造が向いており、一般的な事務所・店舗・介護施設(10m程度のスパンで足りる用途)では木造が十分に対応できます。


減価償却の比較

構造法定耐用年数(事務所用途)年間減価償却率
木造24年4.2%(定額法)
S造(軽量鉄骨)19〜27年3.7〜5.3%(鉄骨厚さによる)
S造(重量鉄骨)34年2.9%
RC造(参考)50年2.0%

木造は耐用年数が短い分、年間の減価償却費が大きく、節税効果が高くなります。初期建設コストが安い上に節税効果も大きいため、投資回収の観点では木造が優位です。

減価償却の詳しい計算方法はこちら


用途別:木造・S造の選択ガイド

用途推奨構造理由
小〜中規模倉庫(500坪以下)木造コスト・工期・断熱で木造有利
大規模倉庫(500坪超、大スパン)S造無柱大空間が必要なため
事務所(3階建て以下)木造コスト・断熱・減価償却で木造有利
事務所(4階建て以上)S造木造高層化はコスト増になりやすい
飲食店・小売店(3階建て以下)木造内装の自由度も高く木造が有利
工場(重量機械の振動あり)S造振動・重荷重に対する剛性
介護施設・保育園木造コスト・温もりの環境・補助金活用

木造とS造でよくある質問(FAQ)

Q. 鉄骨のほうが「丈夫」で長持ちするのでは? A. 構造の優劣ではなく設計次第です。木造2×4は壁全体で力を受ける面構造で、地震力を分散します(木造非住宅の耐震性能)。耐用年数についても、保証年数と実際の建物寿命は別物です(木造非住宅は何年もつ?)。

Q. 木造は火災に弱く、保険料が高くなりませんか。 A. 非住宅では用途と規模に応じて準耐火・耐火の性能が要求され、2×4は石膏ボードによる被覆でこれを満たします(準耐火構造のしくみ)。火災保険の構造級別は「耐火性能をどう取得したか」で決まるため、仕様の作り方で差が縮みます(非住宅木造で使える火災保険の選び方)。

Q. 途中で構造を変えると、どこからやり直しになりますか。 A. 基礎の設計と配置計画からやり直しになります。自重が違えば基礎も変わり、スパン割りが変われば平面計画も変わるためです。構造は基本設計に入る前に決めるのが原則です。

Q. 倉庫でフォークリフトを走らせたい場合は? A. 必要な無柱スパンから逆算します。15m以内なら木造で成立するケースが多く、それを超えると架構コストが急増します(木造の大スパンの限界)。倉庫の規模別総額は 木造倉庫の建設費 を参照してください。

まとめ:木造が有利な場面・S造が有利な場面

木造を選ぶべき場面:

  • 予算を抑えたい(S造比 15〜25%のコスト削減)
  • 工期を短縮したい(S造比 1〜2ヶ月短縮)
  • 省エネ・断熱性能を確保したい
  • 節税効果を最大化したい
  • 3階建て以下の倉庫・事務所・店舗・福祉施設

S造を選ぶべき場面:

  • 10m超の大スパン・無柱空間が必要
  • 4階建て以上の中高層建物
  • 重量機械の振動・重荷重に対する高い剛性が必要

木造かS造かの選択は、コスト・工期・用途・スパンを総合的に判断して決めましょう。「非住宅建築 = 鉄骨」という固定観念にとらわれず、まず木造の可能性を検討することをお勧めします。

木造・RC造・S造のコスト比較はこちら  非住宅木造の補助金一覧はこちら

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