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木造非住宅の工期|短くなる理由と設計・申請の期間

木造非住宅の工期|短くなる理由と設計・申請の期間

※ 画像はイメージです

木造非住宅の工期が短くなるのは、主に躯体(構造体)の工事です。 コンクリートを打って固まるのを待つ養生の工程がなく、柱・梁や壁パネルを工場で加工(プレカット・パネル化)して現場では組み立てが中心になるためです。一方で、設計、確認申請と各種の判定、補助金の手続き、設備・内装、検査の期間は、構造を木造にしても大きくは縮みません。

確認申請の審査期間は、建築主事が審査する場合、建築基準法で受理から35日以内(平屋かつ延べ200㎡以下などの新3号建築物は7日以内)と決められています。構造計算適合性判定や省エネ適判(省エネ基準への適合性判定)が必要な計画は、その期間も加わります。木造の工期の短さを開業に活かすには、躯体以外の工程を前倒しで段取りすることが要点です。構造ごとの比較は 木造と鉄骨造の違い も参照してください。

工期は規模・用途・仕様・地域・季節で大きく変わるため、本記事では一律の月数の目安は載せていません。個別の工期は、設計者・施工者の工程表で確認してください。

木造で躯体工事が短くなる理由

理由内容
養生の工程がないRC造のようにコンクリートを打って固まるのを待つ工程(型枠・養生)がない。木造でも基礎はコンクリートなので、基礎の養生は必要
プレカット・パネル化柱・梁の継手や仕口を工場で加工し、2×4工法では壁・床をパネルにできる。現場は組み立て中心になる
建物が軽い上部構造が軽いため、基礎の規模や重機の作業を抑えやすい
早く屋根が架かる建方(骨組みの組み立て)が終わると早く屋根・外壁で囲えるため、その後の内装工事が天候の影響を受けにくい

CLT(直交集成板)などの大判パネルを使うと、さらに現場の組み立てを短くできます(CLT建築とは?)。

【早見表】工程ごとに「木造で縮むか」

工程木造で縮むか期間を決めるもの
企画・設計縮みにくい用途・規模、構造計算の有無、施主の意思決定の早さ
確認申請の審査縮まない建築主事の審査は受理から35日以内(新3号は7日以内)。指定確認検査機関は契約で定める
構造計算適合性判定縮まない(必要な計画だけ)申請の受理から14日以内に結果を通知。合理的な理由があれば35日の範囲で延長できる
省エネ適判縮まない用途・規模と計算の方法。審査省略の対象(平屋かつ200㎡以下で建築士が設計)を除き必要
補助金の交付決定縮まない公募・審査の日程。交付決定前の着工が認められない補助が多い
基礎工事一部縮む建物が軽いぶん規模を抑えやすいが、コンクリートの養生は要る
躯体(建方)大きく縮むプレカット・パネルの製作期間と、現場の組み立て
設備・内装あまり縮まない医療・厨房・浴室など設備の量。用途が重いほど長い
検査・引渡し縮まない完了検査、消防の検査、行政の許認可(保育所・福祉施設・飲食店などは用途ごとの手続き)

確認申請の期間は建築基準法6条4項、延長は6条6項、構造計算適合性判定の期間は6条の3第4項・5項によります。延長や補正があると期間はさらに延びるため、余裕を持って見込みます。申請の費用と期間の詳細は 建築確認申請の費用は誰が払う? で解説しています。

工期を左右する「工期の基準」と労働時間の規制

2024年4月から、建設業にも罰則付きの時間外労働の上限規制が適用されています。中央建設業審議会の「工期に関する基準」(2020年7月作成、2024年3月改定)は、受注者が時間外労働の規制を守れる適正な工期で見積もることを努力義務とし、受発注者が工期の設定で協力することを求めています。また建設業法は、通常必要と認められる期間に比べて著しく短い工期の請負契約を禁じています(19条の5)。

短い工期を目指すときも、無理な短縮ではなく、設計と段取りで現場の作業を減らすことが基本です。

工期短縮の経営効果

  • 建設中の負担を減らす:工事期間中の借入金の利息や、仮店舗・既存施設の賃料など、期間に比例する費用を抑えられる
  • 開業を前倒しできる:店舗・宿泊・施設は早く開ければ早く収益が出る。観光の繁忙期や年度の切り替わりに合わせた開業も狙いやすい(保育所の計画は 保育園の設計費用と建設費 を参照)
  • 計画の確実性が上がる:躯体を早く囲えると、内装工事が天候に左右されにくい

事業計画への組み込み方は 木造非住宅の事業計画とROIの考え方 を参照してください。

工期をさらに縮める設計・段取りの工夫

  • 整形なプランとモジュールの統一:部材の種類を減らし、プレカット・パネルの製作を早める
  • 構造計算・省エネ計算を設計と並行:確認申請の前に計算を固め、補正の手戻りを防ぐ
  • 補助金の日程から逆算:交付決定の時期と着工の時期を最初に確認する
  • 設備と構造の取り合いを事前に調整:配管・ダクトの貫通位置をプレカットの前に決め、現場での手直しを防ぐ
  • 長納期の設備・建材を早めに発注:空調・昇降機・特注サッシなどは、納期を確認して早めに手配する

自社案件の概算は 非住宅木造の建設費 概算の出し方 で確認できます。

【チェックリスト】開業日から工程を逆算するときの8項目

  • 開業日(引渡し日)を決め、そこから検査・行政の許認可の期間を逆算した
  • 建築確認の審査期間(35日以内/新3号は7日以内、指定確認検査機関は契約の期間)を見込んだ
  • 構造計算適合性判定・省エネ適判が必要か確認し、その期間を工程に入れた
  • 補助金を使う場合、公募・交付決定の日程と着工の制限を確認した
  • プレカット・パネルの製作期間を施工者に確認した
  • 空調・昇降機・特注品など、長納期の設備・建材の発注時期を決めた
  • 用途ごとの許認可(保育所・福祉施設・飲食店・旅館業など)の手続きと期間を確認した
  • 時間外労働の規制を守れる工期になっているか、施工者と確認した

木造非住宅の工期に関するよくある質問(FAQ)

Q. 木造はRC造よりどのくらい工期が短いのですか。 A. 規模・用途・仕様で変わるため、一律の比率は示せません。短くなるのは主に躯体の工事で、コンクリートの養生がなく、プレカット・パネル化で現場作業を減らせるためです。設計・申請・設備・検査の期間は木造でも大きくは縮みません。

Q. 確認申請にはどのくらいかかりますか。 A. 建築主事が審査する場合、建築基準法で受理から35日以内(新3号建築物は7日以内)とされています。構造計算適合性判定(受理から14日以内、延長は35日の範囲)や省エネ適判が必要な計画は、その期間も加わります。指定確認検査機関の審査期間は契約で決まります。

Q. 雨や雪で工期は延びませんか。 A. 基礎と建方の時期に悪天候が重なると延びることがあります。建方が終わって屋根・外壁で囲えれば、その後の内装工事は天候の影響を受けにくくなります。

Q. 年度内の開業に間に合わせたいのですが。 A. 目標の開業日から、検査・許認可・設備・躯体・申請・設計の順に工程を逆算し、補助金の日程も含めて早めに動くことが重要です。木造の躯体の短さは、その中の一部を縮める効果だと考えてください。

Q. 急いで建てると品質は落ちませんか。 A. 木造の工期の短さは、工場で加工した部材を現場で組み立てることによるもので、現場で急ぐこととは違います。品質は加工の精度と施工管理で確保します。無理な短縮は、労働時間の規制や建設業法の「著しく短い工期の禁止」にも反します。

まとめ

  • 木造で縮むのは主に躯体工事(養生がない、プレカット・パネル化、軽量)
  • 確認申請は35日以内(新3号は7日以内)、構造計算適合性判定は14日以内(延長35日の範囲)。省エネ適判・補助金・設備・検査も木造では縮まない
  • 工期は時間外労働の上限規制と「工期に関する基準」を踏まえて設定する
  • 開業日から逆算し、躯体以外の工程を前倒しで段取りするのが短縮の要点

※ 本記事は一般的な説明です。個別の計画は、最新の法令と所管行政庁・確認検査機関、設計者・施工者の工程表でご確認ください。

出典・参考

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