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小規模多機能の開設費用と建設費|登録定員29名から逆算

小規模多機能の開設費用と建設費|登録定員29名から逆算

※ 画像はイメージです

小規模多機能型居宅介護の建物を新築する費用は、登録定員29名・通い18名・泊まり9名のフル定員で延床約75坪、木造の本体工事で6,000万〜7,500万円程度が一般的な目安です。 訪問看護を組み合わせる看護小規模多機能型居宅介護(看多機)は、看護のスペースが加わって約90坪・7,200万〜9,000万円程度になります。

建物の大きさは、国の指定基準で決まる定員と宿泊室の基準から逆算できます。登録定員は29人以下、泊まり(宿泊サービス)の利用定員は9人以下で、宿泊室は1室7.43平方メートル以上です(指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準 第66条・第67条)。この記事では、定員から延床と建設費を出す方法と、開設前に確認する基準をまとめます。

※ 本記事の坪単価・延床面積・工期は、特定の見積実績ではなく一般的な目安です。立地・規模・仕様で大きく変わります。

小多機・看多機の「定員」が建物規模を決める

指定基準の定員(2026年10月時点)

定員の種類基準建物への影響
登録定員29人以下(サテライト型は18人以下)事業全体の規模
通いサービスの利用定員登録定員の2分の1〜15人。登録定員が26〜27人なら16人、28人なら17人、29人なら18人まで(サテライト型は12人まで)居間・食堂の広さ
泊まり(宿泊サービス)の利用定員通いの利用定員の3分の1〜9人(サテライト型は6人まで)宿泊室の数と面積

※ 指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準 第66条(小規模多機能型居宅介護)。

設備の基準

小規模多機能型居宅介護の事業所には、居間、食堂、台所、宿泊室、浴室、消火設備その他の非常災害に際して必要な設備などが必要です(同基準第67条)。

設備基準
居間・食堂機能を十分に発揮できる適当な広さ(面積の数値は定められていない)
宿泊室1室の定員は原則1人(処遇上必要なら2人)、1室の床面積は7.43㎡以上
個室以外の宿泊室合計面積をおおむね7.43㎡×(泊まりの定員-個室の定員)以上とし、プライバシーを確保する
立地住宅地、または住宅地と同程度に家族や地域住民と交流できる地域にあること

居間・食堂の広さは数値で決まっていないため、所管の市町村の指定の手引きで目安を確認してください。地域密着型サービスの事業者の指定は、市町村長が行います(介護保険法第78条の2)。

計算例:宿泊室だけで何坪必要か

泊まり9名をすべて個室にする場合、宿泊室の最低面積は 7.43㎡×9室=66.87㎡(約20坪) です。ここに通い18名の居間・食堂、台所、浴室、相談・事務、トイレ、廊下が加わります。フル定員で延床約75坪という目安は、この積み上げを前提にしています。

小規模多機能の建設費・坪単価の目安

構造別 坪単価の比較(一般的な目安)

構造坪単価の目安工期の目安特徴
木造(2×4等)80〜100万円/坪5〜8ヶ月平屋〜2階建てに向き、コスト・工期を抑えやすい
S造(鉄骨)95〜120万円/坪7〜10ヶ月大きな空間をつくりやすいがコストは上がる
RC造110〜140万円/坪12〜16ヶ月費用・工期とも大きい

※ 内装・入浴設備・厨房・外構は別途。福祉施設(介護等)の目安(木造75〜100万円/坪、坪単価一覧)に、宿泊室と浴室の分を見込んだ目安です。

定員別の概算建設費(木造・本体工事、一般的な目安)

区分定員構成宿泊室の目安延床面積の目安概算建設費
小規模多機能(定員を抑える)通い15・泊まり6前後6室前後約65坪約5,200万〜6,500万円
小規模多機能(フル定員)登録29・通い18・泊まり99室約75坪約6,000万〜7,500万円
看多機上記+訪問看護・看護スペース9室+看護室約90坪約7,200万〜9,000万円

土地・外構・送迎車両は別途です。自社の規模での概算は 非住宅木造の建設費 概算の出し方 で試算できます。

建設費は上昇が続いています。福祉医療機構の調査では、ユニット型特別養護老人ホームの平米単価が2025年度に44.3万円となり、調査開始以降で最も高くなりました(融資先のデータ、設計監理費・消費税込み、構造の区別なし)。施設の種類が違うため数字をそのまま当てはめることはできませんが、見積りは計画時点の最新の単価で取り直すことが大切です。

「1棟で3機能」が面積効率に効く

小多機・看多機の建物が単機能のデイサービスと違うのは、同じ建物・同じ職員が「通い」「泊まり」「訪問」を時間帯で使い回す点です。

  • 昼は通いの活動拠点として使う居間・食堂が、夜は泊まりの利用者の生活空間になる。時間帯で用途が切り替わるため、延床あたりの稼働効率を高めやすい
  • 訪問は職員が出ていくサービスなので、専用の大きな部屋は要らず、記録・待機・訪問準備のスペースで足りる
  • 共用部を多機能に使う設計にすれば、フル定員でも70〜90坪程度に3機能を収める計画が立てやすい

「機能ごとに部屋を専用化する」のではなく「時間帯で部屋を兼ねる」前提で間取りを組むのが、この用途のコスト最適化の核心です。

看多機(看護小規模多機能)との違い

看多機も、登録定員・通い・泊まりの定員と、居間・食堂・宿泊室(7.43㎡以上)の基準は小規模多機能と同じ考え方です(同基準第174条・第175条)。違いは看護の体制で、従業者のうち常勤換算で2.5以上は保健師・看護師・准看護師でなければなりません(同基準第171条)。

建物としては、医療材料の保管、衛生管理、看護記録の場所などの看護スペースを計画に織り込むぶん、延床が一回り大きくなります。なお、看多機の事業所が病院・診療所である場合、定員1人の宿泊室は6.4㎡以上とすることができます(同基準第175条)。

「通い・泊まり・訪問」を支える間取りのポイント

  • 居間・食堂(通いの活動拠点)を中心に、宿泊室・浴室・相談スペースを回遊しやすく配置
  • 宿泊室は1室1人・7.43㎡以上を基本に、できるだけ個室化(プライバシーと感染対策)
  • 看多機では看護スペースを設け、医療行為と生活空間の動線を分ける
  • 訪問の拠点として、スタッフの出入り動線・記録スペースも計画に織り込む
  • 在宅での生活を意識した家庭的なしつらえは、木質空間と相性がよい

平屋でまとめると避難・バリアフリーが容易になり、運営効率も上がります。

開設前のチェックリスト

確認項目確認先
登録定員・通い・泊まりの定員をどう設定するか事業計画(第66条の範囲内)
宿泊室の数と面積(7.43㎡以上)、個室以外の宿泊室の扱い設計(第67条)
居間・食堂の広さの目安所管の市町村の指定の手引き
立地が住宅地(または同程度の地域)か市町村の指定担当
公募・整備計画の有無、整備の補助市町村の介護保険担当
建築基準法上の用途と耐火・避難の要求特定行政庁(建築指導課)
宿泊を伴う用途としての消防用設備所轄消防

補助金・減価償却

地域密着型サービスの整備は、自治体の整備の補助の対象になる場合があります。対象と時期は自治体ごとに違うため、所在地の市町村に確認してください。木造化への補助は 非住宅木造に使える補助金・助成金まとめ【2026年度最新版】 を確認してください。

建物の法定耐用年数は、構造と用途で決まります(減価償却資産の耐用年数等に関する省令 別表第一)。どの用途区分を適用するかは顧問税理士に確認してください。構造別の考え方は 非住宅木造の減価償却と節税 を参照してください。

押さえるべき法規

宿泊機能を持つため、規模・階数によっては準耐火構造などが求められる場合があります。用途×規模別の早見表は 非住宅木造の耐火基準を完全ガイド を参照してください。宿泊を伴うため、消防用設備の要求も単機能のデイサービスより上がる点に注意してください(消防設備・避難規定)。具体的な要否は、最新の法令と所管の行政庁・所轄消防で確認してください。

小規模多機能・看多機のよくある質問(FAQ)

Q. 小規模多機能と看多機は、建物として何が違いますか? A. 通い・泊まり・訪問の空間と宿泊室の基準は同じ考え方ですが、看多機は看護職員を常勤換算で2.5以上置く体制のため、看護スペースが追加で必要です。医療材料の保管、衛生管理、看護記録の場所を計画に織り込むぶん、延床は一回り大きくなります。

Q. 泊まり(宿泊室)は9室すべて個室にすべきですか? A. 基準では1室の定員は原則1人で、個室以外の宿泊室を設ける場合は面積とプライバシーの確保が求められます(第67条)。泊まりの稼働は日によって変動するため、定員の設定と稼働率、建設費のバランスを見て室数を決めます。

Q. 既存の戸建てや空き家を改修して開設できますか? A. できる場合があります。住宅地にあることが求められる用途で、住宅と親和性が高いためです。ただし宿泊室の面積、居間・食堂の広さ、浴室、消防用設備を満たせるかが条件で、満たせない場合は新築のほうが基準に合わせやすくなります。用途を変える工事では建築基準法の手続きが必要になる場合もあるため、特定行政庁に確認してください。

Q. 訪問サービスがあるぶん、建物は小さくて済みますか? A. 訪問は外に出るサービスなので専用の広い部屋は要らず、その点では延床を抑えられます。ただし通いと泊まりの空間は必要なので、極端に小さくはできません。職員の出入り・記録・物品準備の動線を確保します。

Q. 看多機は医療ニーズの高い利用者を受けますが、建物で配慮すべき点は? A. 医療処置に対応する清潔な看護スペース、医療廃棄物・衛生管理の動線、必要に応じた酸素・吸引などの設備対応です。生活空間と医療スペースの動線を分けると、利用者の安心と感染対策を両立しやすくなります。

まとめ

項目小多機・看多機のポイント
建設費フル定員で約75坪・木造本体6,000万〜7,500万円、看多機は約90坪・7,200万〜9,000万円が一般的な目安
定員登録29人以下、通いは最大18人、泊まりは最大9人(第66条)
宿泊室1室原則1人・7.43㎡以上。9室なら宿泊室だけで約20坪(第67条)
看多機看護職員を常勤換算2.5以上(第171条)、看護スペースが加わる
確認先指定・補助は市町村、建物は特定行政庁、消防用設備は所轄消防

小規模多機能・看多機の新規開設をご検討中の事業者様は、概算費用の試算からお気軽にご相談ください。介護系の他の用途は 木造デイサービス(通所介護)の建設費と坪単価・木造グループホームの設計と建設 も参照してください。

出典・参考

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