※ 画像はイメージです
放課後等デイサービスの建物を新築する費用は、建物本体の坪単価で木造75〜100万円程度が一般的な目安です。 定員10名の単独事業所(延床約35坪)なら、本体工事で2,600万〜3,500万円程度になります。
国の設備基準では、放課後等デイサービスの事業所は発達支援室と、支援の提供に必要な設備・備品を備え、利用定員は10人以上(主に重症心身障害児を通わせる場合は5人以上)とされています(児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準 第68条・第69条)。発達支援室の広さは国の基準では数値が決まっておらず、自治体の条例や指定の手引きで面積基準が決まっている場合があるため、延床(=建設費)は出店先の自治体の基準で変わります。この記事では、建設費の目安と、基準から必要な面積を積み上げる方法をまとめます。
※ 本記事の坪単価・延床面積・工期は、特定の見積実績ではなく一般的な目安です。立地・規模・仕様で大きく変わります。
放課後等デイサービスの設備・人員の基準
国の基準(2026年10月時点)
| 項目 | 放課後等デイサービス | 児童発達支援(センター以外) | 児童発達支援センター |
|---|---|---|---|
| 必要な設備 | 発達支援室、支援の提供に必要な設備・備品(第68条) | 同左(第9条) | 発達支援室、遊戯室、屋外遊戯場、医務室、相談室、調理室、便所、静養室など(第10条) |
| 発達支援室の面積 | 国の基準に数値なし | 国の基準に数値なし | 1人あたり2.47㎡以上、定員おおむね10人(第10条) |
| 利用定員 | 10人以上(主に重症心身障害児は5人以上)(第69条) | 10人以上(同)(第11条) | 10人以上(第11条) |
| 児童指導員・保育士 | 障害児10人までは2人以上、以降5人ごとに1人を加える(第66条) | 同左(第5条) | 別の基準(第6条) |
| 児童発達支援管理責任者 | 1人以上(第66条) | 1人以上(第5条) | 1人以上(第6条) |
※ 児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成24年厚生労働省令第15号)。所管はこども家庭庁です。
よくある誤解:「放課後等デイサービスの発達支援室は1人2.47㎡以上」と書かれた情報がありますが、国の基準で2.47㎡と定めているのは児童発達支援センターの発達支援室です。放課後等デイサービスの面積は、自治体の条例や手引きで決まっている場合があるので、出店先で必ず確認してください。
自治体の面積基準の例
たとえばさいたま市は、市の条例の独自基準として、児童発達支援(センター以外)と放課後等デイサービスの発達支援室の床面積を利用定員1人につき2.47㎡以上としています。同市の手引きでは、便所・洗面所、相談室、静養室、事務室などを「支援の提供に必要な設備」の例として挙げています(さいたま市「事業所の指定申請及び運営等に関する手引き」)。
このように、国の基準より具体的な面積や諸室を自治体が示している場合があります。企画の最初に、出店先の自治体の条例と指定の手引きを確認するのが鉄則です。
計算例:定員10名の発達支援室の広さ
1人あたりの面積基準が2.47㎡の自治体なら、定員10名の発達支援室は 2.47㎡×10人=24.7㎡以上 です。基準がもっと大きい自治体では、その分だけ発達支援室が広くなります。ここに相談室・静養スペース・事務室・便所・廊下が加わり、延床が決まります。
建設費・坪単価の目安
構造別 坪単価の比較(一般的な目安)
| 構造 | 坪単価の目安 | 工期の目安 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 木造(2×4等) | 75〜100万円/坪 | 4〜6ヶ月 | 平屋に向き、コスト・工期を抑えやすい |
| S造(鉄骨) | 90〜120万円/坪 | 6〜8ヶ月 | 大きな空間をつくりやすいがコストは上がる |
| RC造 | 110〜140万円/坪 | 10〜14ヶ月 | 費用・工期とも大きい |
※ 内装・設備・外構は別途。福祉施設の目安(坪単価一覧)と同じ基準です。
定員別の概算建設費(木造・本体工事、一般的な目安)
| 規模 | 定員の目安 | 延床面積の目安 | 概算建設費 |
|---|---|---|---|
| 小規模 | 児童10名(発達支援室+諸室) | 約35坪 | 約2,600万〜3,500万円 |
| 標準 | 10名(児発と放デイで室を分ける) | 約50坪 | 約3,800万〜5,000万円 |
| 大規模・併設 | 児発+放デイ併設・送迎強化 | 約70坪 | 約5,300万〜7,000万円 |
土地・送迎車両は別途です。自治体の面積基準が大きいと延床が増え、建設費も上がります。自社の規模での概算は 非住宅木造の建設費 概算の出し方 で試算できます。
児童発達支援と「併設」するか「単独」か
児童発達支援(主に未就学児)と放課後等デイサービス(就学児)は対象年齢が違うため、運営上は次の選択になります。
| パターン | 建物の作り方 | 向くケース |
|---|---|---|
| 単独(放デイのみ/児発のみ) | 1つの発達支援室で完結 | 小さく始めたい・対象を絞る |
| 多機能型(児発+放デイ) | 時間帯で同じ室を使い分けるか、室を分ける | 未就学〜就学を切れ目なく支援したい |
多機能型は対象を広げられますが、年齢で活動・安全配慮が異なるため、時間帯で部屋を使い分けるか、室を分けるかを設計段階で決めます。多機能型の利用定員や設備の兼用の扱いも自治体の手引きで確認してください。
子どもを支える間取りと安全配慮
- 発達支援室:自治体の面積基準を満たす広さを確保。個別支援と集団活動を分けられる可動間仕切りが有効
- 静養・相談のスペース:体調を崩した児童の静養と、保護者面談のプライバシー確保
- 見守りやすい視認性:事務室から発達支援室と玄関を見通せる配置
- 児童の安全配慮:角の処理・転倒対策・指挟み防止・手の届かない位置の収納
- 送迎の乗降スペースと駐車場の確保(送迎中心の事業所ほど重要)
- 木のぬくもりのある内装は、保護者への印象づくりにも生かせる
平屋で計画すると避難・見守りが容易になります。
開設前のチェックリスト
| 確認項目 | 確認先 |
|---|---|
| 発達支援室の面積基準(1人あたり何㎡か) | 出店先の自治体の条例・指定の手引き |
| 必要な諸室(相談室・静養室・事務室・便所など) | 同上 |
| 利用定員(10人以上)と、多機能型にするか | 事業計画・自治体の指定担当 |
| 建築基準法上の用途と、確認申請・用途変更の要否 | 特定行政庁(建築指導課) |
| 消防用設備 | 所轄消防 |
| 送迎車の駐車・乗降スペース | 敷地計画 |
| 施設整備の補助の有無 | 自治体の障害福祉・こども担当 |
補助金・減価償却
障害児の通所支援の施設整備は、自治体の補助の対象になる場合があります。対象と時期は自治体ごとに違うため、所在地の自治体に確認してください。木造化への補助は 補助金・助成金まとめ を確認してください。
建物の法定耐用年数は、構造と用途で決まります(減価償却資産の耐用年数等に関する省令 別表第一)。どの用途区分を適用するかは顧問税理士に確認してください(非住宅木造の減価償却と節税)。
押さえるべき法規
建築基準法上の用途の扱いと、規模・階数による準耐火構造などの要否は、最新の法令と特定行政庁で確認してください。延べ面積が200平方メートルを超える、または2階建て以上の建物は確認申請が必要です(建築基準法第6条)。耐火の考え方は 非住宅木造の耐火基準を完全ガイド を参照してください。
放課後等デイサービスのよくある質問(FAQ)
Q. 放課後等デイサービスの開設に必要な広さは? A. 国の基準では、放課後等デイサービスの発達支援室の面積は数値で定められていません。国の基準で1人あたり2.47㎡以上としているのは児童発達支援センターです。放課後等デイサービスは自治体の条例や手引きで面積基準が決まっている場合があり(例:さいたま市は1人2.47㎡以上)、出店先で必ず確認してください。
Q. 賃貸物件での開設と、木造で建てるのはどちらがよいですか? A. 早く小さく始めたい・初期費用を抑えたいなら賃貸、立地を確保して長く運営する・複数事業所を標準化したいなら自社建築(木造)が向きます。賃貸は既存建物が自治体の面積基準・諸室・消防の条件を満たせるかが制約になり、新築は基準に合わせて最適化できます。既存建物の用途を変える場合は、建築基準法の手続きの要否も確認します。
Q. 発達支援室は個別支援と集団活動を分けられたほうがよいですか? A. 分けられると支援の幅が広がります。可動間仕切りで集団活動と個別支援を切り替えられる計画にすると、活動内容の変化に柔軟に対応できます。木造は間仕切りの自由度が高く、こうした可変的な空間づくりに向いています。
Q. 子どもの安全のために建物で配慮すべき点は何ですか? A. 角の面取り、指挟み防止、転倒・衝突対策、手の届かない位置への収納・薬品管理、玄関からの飛び出し防止(二重扉・施錠)などです。事務室から発達支援室と玄関を見通せる配置が、見守りの基本になります。
Q. 送迎が中心ですが、駐車・乗降スペースはどのくらい要りますか? A. 送迎車の台数(定員と送迎範囲で変わる)に応じた駐車スペースと、子どもが安全に乗り降りできる乗降スペースが必要です。前面道路への飛び出しを防ぐため、敷地内で完結する乗降動線を確保します。
Q. 保育園との違いは建物にどう表れますか? A. 保育園は乳児室・ほふく室・調理室・園庭など年齢に応じた諸室が必要なのに対し、放課後等デイサービスは国の基準では発達支援室と必要な設備で構成され、調理室や園庭は求められていません。療育に適した活動空間と相談スペースが中心になる点が違いです(木造保育園の建設費と坪単価)。
まとめ
| 項目 | 放課後等デイサービスの建物のポイント |
|---|---|
| 建設費 | 木造75〜100万円/坪、定員10名・約35坪で2,600万〜3,500万円程度が一般的な目安 |
| 国の設備基準 | 発達支援室+支援に必要な設備・備品(第68条) |
| 利用定員 | 10人以上(主に重症心身障害児は5人以上)(第69条) |
| 面積 | 国の基準に数値なし。2.47㎡は児童発達支援センターの基準。自治体の基準を確認 |
| 確認先 | 面積・諸室は自治体、建物は特定行政庁、消防用設備は所轄消防 |
児童系福祉サービスの新規開設をご検討中の事業者様は、概算費用の試算からお気軽にご相談ください。障がい者向け全般は 木造で建てる障がい者福祉施設 も参照してください。
出典・参考
- 児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準(e-Gov法令検索):第5条・第6条(児童発達支援の従業者)、第9条・第10条(児童発達支援の設備)、第11条(利用定員)、第66条(放課後等デイサービスの従業者)、第68条(設備)、第69条(利用定員)
- さいたま市「事業所の指定申請及び運営等に関する手引き(障害児通所支援・障害児入所支援)」:市条例の発達支援室の面積基準、必要な設備の例
- 建築基準法(e-Gov法令検索):第6条(確認申請)
- 減価償却資産の耐用年数等に関する省令(e-Gov法令検索):別表第一(建物)
- 坪単価・延床面積・工期:公的な統計ではなく、一般的な目安(民間の情報)です

