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保育園の設計費用と建設費|坪単価・定員別の目安と補助金

保育園の設計費用と建設費|坪単価・定員別の目安と補助金

※ 画像はイメージです

保育園の設計費用(設計・工事監理の報酬)は、国土交通省の業務報酬基準(令和6年国土交通省告示第8号)に算定の考え方が示されています。この基準で保育園は「福祉・厚生施設」の類型に入り、延べ面積に応じた標準の業務量(人・時間)をもとに、「直接人件費×2.1+特別経費+技術料等経費+消費税相当額」という略算方法で報酬を算定できます。

私立の認可保育所を国の整備交付金(就学前教育・保育施設整備交付金)で建てる場合は、本体工事費の基準額とは別に「設計料加算」の項目があります。建物本体の建設費は、木造で坪85〜110万円程度が一般的な目安です。

※ 本記事の坪単価・建設費は、公的な統計ではなく一般的な目安です。地域・仕様・時期で大きく変わるため、実際の金額は見積で確認してください。

保育園の設計費用の決まり方

業務報酬基準の算定式(略算方法)

建築士法第25条に基づく業務報酬基準(令和6年1月9日告示)は、設計・工事監理の報酬の算定方法として「実費加算方法」と「略算方法」の2つを定めています。国土交通省の説明資料による略算方法の構成は次のとおりです。

項目内容
直接人件費業務量(業務人・時間数)×人件費単価。業務量は、建物の類型と床面積ごとに告示の略算表で定められている
直接経費+間接経費略算方法では、直接人件費に1.1を標準とする倍数を掛けて算出(=直接人件費と合わせて×2.1)
特別経費建築主等の特別の依頼に基づいて必要となるその他の費用
技術料等経費設計・工事監理等の業務で発揮される技術力、創造力等の対価
消費税相当額―

略算表の類型では、保育園は「十一 福祉・厚生施設」(老人ホーム・老人保健施設などと同じ類型)です。幼稚園は「七 教育施設」に入ります。認定こども園のように複数の用途を持つ建物は、用途ごとの算定方法がガイドラインで示されています。

略算方法は建築物の新築が前提で、増改築・用途変更には使えません(その場合は実費加算方法)。また業務報酬基準は、建築主と建築士事務所が報酬を決める際の算定の考え方を示すもので、報酬額そのものを法律で決めるものではありません。人件費単価は事務所ごとに異なるため、実際の設計料は各事務所の見積で決まります。

設計料とは別にかかる費用

「設計費用」として見込むべきものは、設計事務所への報酬だけではありません。

費目内容
敷地の測量・地盤調査設計の前提になる調査。設計料に含まれないことが多い(地盤調査の費用)
確認申請・検査の手数料床面積に応じて行政等に納める(建築確認申請の費用)
構造計算適合性判定・省エネ関係の手数料規模・構造による
追加的な業務補助金申請用の図書作成、各種協議(保育課・消防など)、完成後の説明資料など。標準業務に含まれない場合は別途

【チェックリスト】設計料の見積を比べるとき

  • 基本設計・実施設計・工事監理のどこまでを含むか
  • 構造設計・設備設計が含まれるか(別の事務所に外注するか)
  • 補助金の申請に必要な図書作成や、保育課・消防との協議が含まれるか
  • 確認申請の手数料や構造計算適合性判定の手数料の実費を含むか
  • 地盤調査・測量は誰が発注するか
  • 業務報酬基準のどちらの算定方法(実費加算/略算)で出しているか

整備交付金の「設計料加算」

こども家庭庁の就学前教育・保育施設整備交付金(令和5年4月から適用。旧 保育所等整備交付金)は、市町村の整備計画に基づく私立の保育所・認定こども園・小規模保育事業所などの整備を補助するものです。令和7年度の予算資料で示された補助割合は次のとおりです。

区分補助割合(令和7年度)
私立(基本)国1/2、市区町村1/4、設置主体1/4
私立(補助率の嵩上げに該当する場合)国2/3、市区町村1/12、設置主体1/4

※ 補助率はメニューによって異なります。嵩上げは待機児童対策・人口減少対策など、要件に該当する場合です。

交付要綱の基準額の表には、定員区分ごとの本体工事費とは別に「設計料加算」や「開設準備費加算」の項目があります。加算額や算定方法は年度の要綱で決まるため、計画する年度の交付要綱と、市町村の保育課の案内で必ず確認してください。

木造保育園の建設費・坪単価(一般的な目安)

構造別 坪単価の比較(保育施設)

構造坪単価の目安工期の目安特徴
木造2×485〜110万円/坪6〜10ヶ月平屋〜2階に向く
S造(鉄骨)100〜130万円/坪8〜12ヶ月大空間に強い
RC造120〜160万円/坪12〜18ヶ月重く、費用・工期がかかる

※ 内装・厨房・外構・園庭整備は別途。一般的な保育所仕様を想定した目安です。

上の目安の幅の中ほどで比べると、木造はRC造より3割程度低い水準です。

保育室・遊戯室の面積基準が延床を決める

保育所の延床は、「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」第32条が定める1人あたりの最低面積の積み上げで決まります(自治体の条例で上乗せされている場合があります)。

諸室対象1人あたり面積の最低基準
乳児室乳児または満2歳に満たない幼児1.65㎡以上
ほふく室乳児または満2歳に満たない幼児3.3㎡以上
保育室または遊戯室満2歳以上の幼児1.98㎡以上
屋外遊戯場(園庭)満2歳以上の幼児3.3㎡以上(保育所の付近にある、屋外遊戯場に代わるべき場所を含む)

満2歳未満の子を預かる保育所には、乳児室またはほふく室のほか、医務室・調理室・便所が必要です。年齢構成(0〜2歳が多いほど面積が要る)によって、同じ定員でも延床が変わります。

定員別の概算建設費(木造2×4・本体工事)

規模定員の目安延床面積の目安概算建設費
小規模保育19名以下約60坪約5,100万〜6,600万円
標準60〜90名約130坪約1.1億〜1.4億円
大規模・こども園120名以上約200坪約1.7億〜2.2億円

延床×坪単価の目安で計算しています。土地・園庭・外構は別途です。自社の規模での概算は 非住宅木造の建設費 概算の出し方 で試算できます。

2階に保育室を置く場合の要件

木造2階建ての園舎で、乳児室・ほふく室・保育室・遊戯室(保育室等)を2階に設ける場合、同基準第32条第8号により次の要件がかかります。

要件内容
建物の種類耐火建築物または準耐火建築物(準耐火建築物のうち建築基準法第2条第9号の3ロに該当するものを除く)
避難のための施設2階の場合、常用として屋内階段または屋外階段、避難用として所定の構造の屋内階段・待避上有効なバルコニー・準耐火構造の屋外傾斜路・屋外階段などを、それぞれ1以上
転落防止保育室等その他乳幼児が出入り・通行する場所に、転落事故を防止する設備

3階以上に設ける場合は耐火建築物とすることに加え、歩行距離、調理室の区画、内装の不燃化、非常警報などの要件が加わります。木造で計画するなら、保育室等を1階にまとめる平屋か、2階に置く場合は準耐火建築物とするのが基本の考え方です。防火の全体像は 非住宅木造の耐火基準を完全ガイド、法規・設計の詳細は 木造保育園・幼稚園の建設ガイド にまとめています。

木造保育園を選ぶ理由

1. 建設費と工期を抑えやすい

上の目安のとおり、木造はRC造より坪単価・工期とも抑えやすい構造です。補助金の交付決定や認可の手続きの期間を考えると、工期に余裕を持てることは開園時期の計画に効きます。

2. 木質の空間を園の特色にできる

木の内装は、足触りのやわらかさや、反響を抑えた落ち着いた音環境をつくりやすく、素足保育や床に座る活動の多い保育園と相性がよい素材です。地域材を使った園舎は「木育」の教材にもなり、園の特色として保護者に伝えやすくなります。

3. 減価償却の年数が短い

「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」の別表第一では、たとえば住宅用・学校用の建物は木造22年、鉄筋コンクリート造47年です。保育所の建物にどの区分が当たるかは税理士に確認が必要ですが、木造はRC造より耐用年数が短く、年間の減価償却費が大きくなります(非住宅木造の減価償却と節税)。

補助金を使う場合の進め方

  1. 市町村の保育課に「整備計画」と公募の有無を確認:整備交付金は市町村の整備計画に基づくため、手を挙げられる年度・枠があるかを最初に確認します。
  2. 補助の対象範囲を把握:本体工事費の基準額、設計料加算、開設準備費加算など、要綱の項目ごとに対象を確認します。木造化・木質化の支援(林野庁系)を併用できるかも確認します(非住宅木造に使える補助金・助成金まとめ)。
  3. 交付決定の前に契約・着工しない:補助事業は交付決定前の着手が対象外となるのが一般的です。スケジュールは交付決定から逆算します。
  4. 補助額が確定してから資金計画を固める:補助率・基準額は年度・要綱で変わります。「もらえる前提」で過大な計画を組まないことが大切です。

木造保育園のよくある質問(FAQ)

Q. 保育園の設計費用は建設費の何%ですか。 A. 業務報酬基準は、建設費に対する割合ではなく、建物の類型と床面積に応じた業務量(人・時間)から算定する考え方です。事務所ごとの人件費単価や、構造・設備設計の外注の有無で金額が変わるため、「何%」と一律には言えません。見積の比較は上のチェックリストを使ってください。

Q. 木造の園舎は火事や避難で不利になりませんか。 A. 規模・階数に応じて準耐火などの構造で建て、2階に保育室等を置く場合は上の要件を満たせば、必要な防火・避難の性能は確保できます。平屋で計画すれば、園庭へ直接避難できる動線もつくりやすくなります。

Q. 小規模保育(19名以下)でも木造で建てる意味はありますか。 A. あります。小規模保育は延床60坪程度で、木造が得意とする規模です。小規模保育事業所も整備交付金の対象事業に含まれています。

Q. 園庭が取れない都市部でも保育園は建てられますか。 A. 建てられます。基準上、屋外遊戯場には「保育所の付近にある屋外遊戯場に代わるべき場所」も含まれるため、近隣の公園等で代替できる場合があります。運用は自治体ごとに違うので、企画段階で保育課に確認してください。

Q. 認定こども園(幼保連携型)でも費用感は同じですか。 A. 基本的な坪単価の考え方は同じですが、教育と保育の両方の機能を持つため諸室が増え、延床・建設費は上がりがちです。設計料の算定でも、用途が複数になる点に注意してください。

まとめ

項目ポイント
設計費用業務報酬基準(令和6年告示第8号)で算定。保育園は「福祉・厚生施設」類型。実際の額は事務所の見積で決まる
補助金就学前教育・保育施設整備交付金(私立:国1/2など、令和7年度)。設計料加算の項目あり
建設費木造で坪85〜110万円が一般的な目安
面積保育室・遊戯室は満2歳以上1人1.98㎡以上など(設備運営基準第32条)
2階の保育室耐火建築物または準耐火建築物(一部の準耐火を除く)+避難施設+転落防止

保育園・認定こども園の新設・建替えをご検討中の社会福祉法人・運営事業者様は、概算費用の試算からお気軽に 無料相談 ください。

※ 本記事は一般的な制度の説明です。補助の要件・基準額は年度の交付要綱と市町村の案内で、設備の基準は自治体の条例で上乗せがないかを、必ず最新の情報でご確認ください。

出典・参考

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