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飲食店・レストランの建物本体の坪単価は、一般的な目安で木造80〜110万円、S造(鉄骨造)95〜125万円、RC造(鉄筋コンクリート造)115〜150万円です。 40〜60席・延床約50坪の路面店なら、木造で約4,000万〜5,500万円が本体工事の目安になります(厨房機器・内装造作・外構・土地は別途)。
飲食店は、厨房の給排水・排気と、食品衛生法の施設基準への対応が建築費を押し上げる用途です。この記事では、構造別・規模別の費用と、保健所と建築の両面で押さえる法規を整理します。
この記事はフルサービスの飲食店・レストラン(路面店・ロードサイド型)が対象です。カフェ・ベーカリー・物販などの小規模店舗は 木造店舗のメリット(カフェ・物販)、コンビニ・ドラッグストアなどのロードサイド業態全般は ロードサイド店舗を木造で建てる を参照してください。
構造別の坪単価(飲食店)
| 構造 | 坪単価の目安 | 工期の目安 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 木造2×4 | 80〜110万円/坪 | 4〜6ヶ月 | 平屋の路面店に向く |
| S造(鉄骨) | 95〜125万円/坪 | 6〜8ヶ月 | 柱の少ない大きな客席をつくりやすい |
| RC造 | 115〜150万円/坪 | 8〜12ヶ月 | 耐火に強いが、重く工期が長くなりやすい |
※ 坪単価・工期は一般的な目安で、公的統計や実績の集計値ではありません。サイトの 建築の坪単価一覧 に飲食店の行はなく、厨房・排気の設備が重い分、一覧の「カフェ・物販店」(木造70〜100万円)より高めに見ています。厨房機器・内装造作・外構・消費税は含みません。
幅の真ん中どうしで比べると、木造はS造より約14%、RC造より約28%低い水準です。
【計算例】客席規模別の概算建設費(木造2×4・本体工事)
| 規模 | 客席の目安 | 延床面積の目安 | 計算 | 概算建設費 |
|---|---|---|---|---|
| 小規模 | 20〜30席 | 約30坪 | 30坪 × 80〜110万円 | 約2,400万〜3,300万円 |
| 標準 | 40〜60席 | 約50坪 | 50坪 × 80〜110万円 | 約4,000万〜5,500万円 |
| 大規模・ファミレス型 | 80席以上 | 約80坪 | 80坪 × 80〜110万円 | 約6,400万〜8,800万円 |
延床面積は、客席のレイアウトと厨房の広さで大きく変わります。厨房機器(冷凍冷蔵庫・加熱機器・食器洗浄機など)は、業態によって建物本体とは別に数百万〜1,000万円を超えることもあります(一般的な目安)。自社の計画での概算は 非住宅木造の建設費 概算の出し方 で試算できます。
業態で建築費が変わるところ
| 業態 | 建築費が上がりやすい要因 |
|---|---|
| カフェ・喫茶 | 軽食中心なら厨房設備は軽め |
| 定食・洋食・居酒屋 | 標準的な厨房と排気 |
| ラーメン・中華 | 強い火力、大型のレンジフード、排気ダクト、ガス容量 |
| 焼肉・鉄板 | 客席ごとの排煙設備と大がかりなダクト |
| 仕込み量の多い業態 | 下処理の場所と冷蔵・冷凍の設備が大きくなる |
火力と排気が重い業態ほど、ダクト・排気・ガス容量の費用が坪単価の上振れ要因になります。
【早見表】食品衛生法の施設基準(共通基準の主な項目)
飲食店営業には、食品衛生法にもとづく都道府県知事等(保健所)の許可が必要で、施設は都道府県等が条例で定める基準に合わなければなりません(食品衛生法第54条・第55条)。条例の基準は、国の省令(食品衛生法施行規則 別表第十九・第二十)を参酌して定められます。建物に関わる主な項目は次のとおりです。
| 項目 | 共通基準の内容(施行規則 別表第十九) |
|---|---|
| 区画 | 作業の区分に応じて、間仕切りなどで必要な区画をする。住居など食品を扱わない室・場所が同じ建物にある場合は区画する |
| 床・内壁・天井 | 清掃・洗浄・消毒しやすい材料と構造。水で清掃する施設は、床を不浸透性の材質で排水良好に、内壁は汚れやすい高さまで不浸透性材料で腰張り |
| 手洗い設備 | 手指を洗浄消毒する装置を備えた流水式の手洗い設備を必要な個数。水栓は洗浄後の手の再汚染を防げる構造 |
| 給水 | 水道水など飲用に適する水を、必要な場所に適切な温度で十分な量供給できる設備 |
| 排水 | 十分な排水機能を持ち、水で洗浄する区画の床に設置。汚水の逆流で食品を汚染しない配管 |
| 換気・照明 | 作業場所の真上は結露しにくく換気が適切にできる構造。作業・清掃に必要な照度 |
| 便所 | 作業場に汚染の影響を及ぼさない構造で、専用の流水式手洗い設備を持つ便所を従業者の数に応じて設置 |
| 防虫・防鼠 | ねずみ・昆虫の侵入を防ぐ設備 |
自治体の条例で上乗せの基準(シンクの数など)が定められていることがあるため、設計の初期に図面を持って保健所に事前相談してください。厨房の排水の油を分離するグリストラップ(油脂分離阻集器)の設置や容量も、自治体(下水道の担当部署)の基準で確認します。
建築基準法で押さえるポイント
飲食店(床面積10㎡以内のものを除く)は、建築基準法 別表第一(四)項の特殊建築物です(施行令第115条の3第3号)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 火を使う調理室の内装 | 住宅以外の建築物(特定主要構造部を耐火構造としたものを除く)で、こんろなど火を使う設備を設けた調理室は、壁・天井の仕上げに制限がかかる(法第35条の2、令第128条の4第4項)。木造の飲食店の厨房は、基本的にこの制限の対象 |
| 火を使う室の換気 | 調理室などでこんろその他火を使う設備・器具を設けた室には、政令の基準に従った換気設備を設ける(法第28条第3項) |
| 店舗部分の内装 | 準耐火建築物などでない建築物では、飲食店の用途の床面積の合計が200㎡以上で内装制限がかかる(令第128条の4第1項) |
| 耐火性能 | 3階以上の階を飲食店に使う場合(階数3で延べ面積200㎡未満を除く)、2階の飲食店部分の床面積の合計が500㎡以上の場合、飲食店部分の床面積の合計が3,000㎡以上の場合は、法第27条により主要構造部に所定の耐火性能が必要 |
ダクトが防火上の区画や壁を貫通する部分には、防火上の措置が必要になることがあります。用途地域によっては飲食店を建てられない地域もあるため(建築基準法 別表第二)、土地の検討段階で確認してください。耐火の全体像は 非住宅木造の耐火基準 を参照してください。
法定耐用年数(飲食店用)
減価償却に使う法定耐用年数は、飲食店用で次のとおりです(減価償却資産の耐用年数等に関する省令 別表第一)。
| 構造 | 法定耐用年数(飲食店用) |
|---|---|
| 木造・合成樹脂造 | 20年 |
| 金属造(骨格材の肉厚3mm以下) | 19年 |
| 金属造(3mm超4mm以下) | 25年 |
| 金属造(4mm超) | 31年 |
| RC造・SRC造(延べ面積に占める木造内装部分が3割超) | 34年 |
| RC造・SRC造(上記以外) | 41年 |
耐用年数が短いほど毎年の減価償却費(費用に計上できる額)が大きくなります。ただし償却できる総額は取得価額で決まっているため、効果は「費用計上の時期が早まる」ことです。区分の判断は税理士に確認してください。詳しくは 非住宅木造の減価償却と節税 を参照してください。
自社で建てるか、居抜き・テナントか
| 出店形態 | 初期費用 | 自由度 | 向くケース |
|---|---|---|---|
| 居抜き | 小 | 低(前の店の設備に縛られる) | 早く安く始めたい |
| スケルトンのテナント | 中 | 中(内装は自由、建物は借り物) | 立地を優先し、賃料を許容できる |
| 自社で建てる | 中〜大 | 高(建物から設計できる) | 同じ立地で長く営業する、複数店で標準化したい |
自社で建てる場合は初期投資が大きい一方、賃料がかからず、厨房と客席を業態に合わせて設計でき、建物を減価償却で費用化できます。
【チェックリスト】飲食店の建築で早めに決めること
- 業態とメニュー(火力・排気・ガス容量が決まる)
- 厨房の位置と、排気ダクトを外部へ出す経路
- グリストラップの位置(床下に埋める場合は床の構造に関わる)
- 保健所への事前相談の時期と、条例の上乗せ基準
- 火を使う調理室の内装制限に合わせた仕上げ材
- 駐車台数と出入口の位置(ロードサイド型)
- 2階に客席・宴会場を置くか(避難・耐火の扱いが変わる)
よくある質問(FAQ)
Q. 木造だと厨房の火気や油煙で建物が傷みませんか? A. 火を使う調理室の内装制限を守り、レンジフード・ダクトの経路と清掃のしやすさを設計すれば、木造でも対応できます。油煙への対策は構造にかかわらず必要な計画です。
Q. 厨房の床は木造でも防水・排水できますか? A. できます。食品衛生法の基準では、水で清掃する施設の床は不浸透性の材質で排水が良好であることが求められます。防水層と排水勾配、排水溝、グリストラップの位置を企画段階で決めておきます。
Q. 2階を住居や宴会場にできますか? A. できます。ただし住居と同じ建物にする場合は、食品衛生法上の区画が必要です。2階に客席を設けると避難や耐火の扱いが変わるため、計画段階で確認してください。
Q. テラス席やウッドデッキは付けられますか? A. 付けられます。屋根や囲いの付け方によっては床面積や建築面積に算入されることがあるため、設計者に確認してください。
まとめ
| 項目 | ポイント |
|---|---|
| 坪単価の目安 | 木造80〜110万円、S造95〜125万円、RC造115〜150万円(本体工事) |
| 総額の目安 | 40〜60席・約50坪で木造約4,000万〜5,500万円(厨房機器は別途) |
| 食品衛生法 | 営業許可が必要。手洗い設備・床や内壁・排水などの施設基準。条例の上乗せに注意 |
| 建築基準法 | 別表第一(四)項。火を使う調理室の内装制限と換気、3階以上や2階500㎡以上は耐火性能 |
| 法定耐用年数 | 飲食店用で木造20年、RC造41年(木造内装3割超は34年) |
飲食店・レストランの新規出店・建替えをご検討中のオーナー様は、概算費用の試算からお気軽にご相談ください。
出典・参考
- 食品衛生法(e-Gov法令検索)第54条・第55条: https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000233
- 食品衛生法施行規則(e-Gov法令検索)第66条の7・別表第十九・別表第二十: https://laws.e-gov.go.jp/law/323M40000100023
- 建築基準法(e-Gov法令検索)第27条・第28条・第35条の2・別表第一・別表第二: https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000201
- 建築基準法施行令(e-Gov法令検索)第115条の3・第128条の4: https://laws.e-gov.go.jp/law/325CO0000000338
- 減価償却資産の耐用年数等に関する省令(e-Gov法令検索)別表第一: https://laws.e-gov.go.jp/law/340M50000040015
- 坪単価・工期・延床面積・厨房機器費用の目安:公的な統計ではなく、一般的な目安(民間の情報)です

